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New History  作者: 鷹野悠乃
第一章
3/4

二話:遺跡の中にて

 一行はリク達が住むカダ村から2週間かけて東の遺跡までやってきた。


「そこの石の建てもんがぁ、今回調査する遺跡だ。」


「やっと着いたのかよ。 遠いわぁほんと」


「わぁ…… おっきいねぇ。 石を切り出して作ったのかなぁ」


「この時代は、人工的に石を作り出すことが出来たらしいですね。 昔の人は能力がなかったとか。 いやはやすごいものです」


 リク達はコンクリートで出来た建物を眺め思い思いの感想を述べる。

 遺跡にはツタが巻き付き、周囲には木々や雑草が無造作にのびてジャングルと化していた。

 辛うじて遺跡が白を基調としていて、シンボルなのだろうか十字のマークが掲げられているのが解った。


「リクとエンジュは、遺跡の中の探索。 オレとリオは周囲の調査が終わったら、あとで手伝いにいっから。 まぁ、お宝でも探してこいや」


「マジかよ。 見つけたもんは好きにして良いんだよな。 さすがソウの兄貴、わかってるぅ~ 」


「なにか美味しいもの有るかなぁ」


「まぁ、さっさと行ってこい」


 ソウの言葉にそくされて、リクとエンジュは遺跡の探索を始めた。

 


 遺跡の中に入ってみると、雑草などの植物は生えておらず綺麗に状態を保っていた。

 リク達が歩くとカツンカツンと靴音が通路を響かせる。普段は土や草原を歩いているリク達にとっては新鮮であった。

 そんな時に、足元からパキっと乾いた音がした。


「エンジュ、なんかふんでね? 」


 お宝だったらどうするんだよ。いつもどっか抜けてるんだよなぁエンジュはと、リクはエンジュの足元をみた。


「えぇ、何かなぁ。 この白いの、動物の骨かなぁ? 」


「いあ…… 髑髏どくろがそこに転がってる」


 エンジュが踏み折ったのは人骨の一部だった。

 骸骨は綺麗に白骨化していてる。ここ数年の物ではなく、かなり古い物のようだった。


「なんまいだぁ~」


 そう言いながらエンジュは手を合わせた。


「お前なんも思わないのかよ」


「埋葬されずに放置されてて可哀想っておもうよぉ」


「そうかよ……」


 こいつオバケとか怖くないのかよ。


 リクはこういう所で変に現実主義のエンジュを頼もしくおもっていた。

 自分なら踏んだ物が、人骨と分かった瞬間に叫んでしまうだろう。

 リクは少しばかりエンジュに寄り添うように歩き始めた。


 そしてよく見れば、そこら中に人骨が転がっていた。

 どうやらここで、戦闘があったようだ。

 どの人骨も同じような服を着ており、一方的にやられたことが見て取れた。



 ある程度、遺跡の奥の方まで進んだころ通路の壁に大きな穴が開いていた。

 瓦礫は外から通路内へ散乱している。

 

「わぁここ凄いねぇ。 僕の能力でもこんな風に吹き飛ばせないかなぁ」


「身体強化系の能力でぶっ叩いたらこうなるんじゃねーの」


 リク達も一応遺跡調査ということで、この遺跡で何があったかを調べながら探索していた。


「リクさぁ、ここ最近誰かがいた形跡もないし別行動でもいいかなぁ。 見つけたお宝の数で勝負しようよぅ」


 まじか。なんか出たら嫌なんだけど。オバケとかオバケとか。

 けど、アホのエンジュに兄貴ズラされるのも嫌だしなぁ。


 正直一人で調査するのは心細かったが勝負となれば話は別だった。

 男の子には引けない時があるのだ。


「よ、よし。 負けた方が肉の森亭の憎々しい程の肉盛り定食おごりな」


 肉の森亭とは、自称村一番の肉を出すという食堂で、憎々しい程の肉盛り定食はコレでもかというほどの肉が盛られた定食だ。

 お値段は其れなりに高い。


「いいよぉ~。 僕はこの穴の先に行ってみるから、リクは真っすぐ進んでねぇ。 じゃあ、始まり~」


 そういってエンジュは通路に開いた大穴から出て行った。


 リクは周辺を見回してみるが、骸骨ばかりでお宝は見つからない。

 ここらじゃあ、お宝って言えるもの何もないなぁ。

 もっと奥に行くしかないのかよぉ。

 オバケとか居ないよ……な……



 リクは周囲を警戒しながら奥に進んでいくことにした。

 しばらく進んでいくと、下へと降りていく階段をみつけた。


「大事なものを隠すなら、上より下かな……」


 一人だと独り言も多くなっていくリク。


「ていうか、暗」


 地下へと続く階段は、光が差さず奈落の様にくらい。

 ここまでの道は、壁が崩れていたり窓から太陽の光が差していて、そこそこ明るかった。


「こえぇぇ…… オバケとかでません様に」


 エンジュと勝負になった手前ここで引くことはできない。

 リクは自分の能力である火を掌に出した。

 リクの力は部族の中で比べると弱い。

 他の者は火炎というほどの火力が出せるが、リクは篝火という程度だった。

 部族の者の髪は、能力が強い程…… 紅い。

 しかしリクの髪の色は、その能力の力を表すかのように紅とは程遠い白だった。


 それでも暗闇の中を照らす程度には十分だった。


 そしてリクは最下層へと降りていく。


 最下層までたどり着いたとき、ひときわ大きな扉をみつけた。


「お、当たりじゃね。 オレのカンさえてる~」


 リクは意味ありげな扉を前にしつつも開け方が解らなかった。

 扉に必要なノブがないし、引き戸かと思い引いても押してもあかない。

 まさにお手上げ状態だった。

 しかし、ここで引くわけにはいかなかった。

 

 リクは仕掛け扉か何かと思い、周辺を調べることにした。


 壁を調べていると、レバーを見つけた。

 他に目ぼしい物がないので、レバーを動かしてみることにする。

 すると、地下なのにもかかわらず当たりが明るくなった。


「ま、まぶしい」

  

 突然あたりが明るくなって驚いたが、扉が開くかも知れないので扉の方へ向かう。

 扉の前に立つと、勝手に扉が開いた。


「う、うそ。 勝手に開いた。 誰かいますかー」

 

 突然開いた扉に驚き、警戒して声をかけてみるが反応はない。

 様子見をしていたが、誰も居なさそうなので警戒しながら中に入ることにした。


 

 そこでリクは出会うことになる。

 自分の運命を変えることになる少女と。


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