一話:東の遺跡へ
「おら、起きろ」
そういって体格のいい男が、髪の白い少年を蹴り上げた。
「いってぇぇぇ、何すんだよ」
「昨日、東の遺跡にいくっつったろよぉ。リクよぉ、何時までも寝てんじゃねーぞ。」
リクは 蹴り上げられた尻を摩りながら、体格のいい男に近づいていく。
「デザイナーズの爺さんからの依頼だっけ? あんな所に行っても、なんも残ってないと思うんだけどなぁ」
「お偉いさんには、俺らには分からん事が解るんだろうよ。 あとリオとエンジュも行くから、お前はエンジュ呼んで来い」
「えー、エンジュのアホも行くのかよ。 めんどくせぇ」
「つべこべ言わずに、行ってこいや」
「へーい」
ソウの兄貴は本当に小間使いがひどい。
やれ洗濯しろだ、やれ買い出しに行ってこいだ、自分ですればいいのにとブツクサ考えているうちにリクはエンジュの家に前についた。
「エンジュー、出かけるぞー。 でてこーい」
だが反応がない。
居ないのか? めんどくせぇと思いつつ、リクはエンジュの家の扉を開けようとする。
しかし、カキがかかっていた。いつもは鍵なんて掛けてないのに……
もう一度、声をかけても反応がなかったらソウの兄貴のところに戻ろうときめて、リクは声を張り上げる。
「エーンジュくーん、あーそーびーまーしょー」
普段ならこれで、笑顔のエンジュが大体出てくる。『リク~、今日は何して遊ぶのぉ? 森にでも行くのぉ?』とか言いながら。
けれど待てども反応がない。
「しーらね」
待ち飽きたリクは、諦めてソウの所に戻ることにした。
いちを筋は果たしたし、文句は言われないだろ……
全部あいつが悪い。
リクはそう思うことにして。
リクがソウの所に戻ると、すでにリオとエンジュが集まっていた。
「もう、リク遅いよぉ~」
のほほんと13歳か14歳ぐらいで、すこしふくよかな少年が話しかけてきた。
「俺はお前の家まで迎えに行ってたんだけどな…… 」
「えぇ~ でも会わなかったよぉ」
能天気にそう声をだすエンジュ。
こいつはいつもそうなのだ。マイペースで自分のタイミングでしか動かない。
しかも言ってくる事がどこか抜けてて、イラついて話しててもバカバカしくなってくる。
リクがハァとため息を付いてるとリオが話しかけてきた。
「リク君とエンジュ君は、いつも仲がいいですね」
「そう見えるんなら、そうなんでしょうね…… 」
そんな態度のリクを見ながら、リオはカラカラと笑った。
リオさんはスマートでお洒落なのに、この人もなんかエンジュとおなじ匂いが、するんだよなぁとリクは思った。
そして準備が終わったソウがリクたちに話しかけた。
「リクおそいぞ。 まったく、どこほつき歩いてやがったんだ。これから依頼の確認をするぞ」
今回の依頼は、デザイナーズ・チルドレンの一人であるカイナ爺さんからの物であること。
依頼内容は、東の森にある崩れた遺跡の中でも、ひときわ大きな白い遺跡を調べること。
遺跡の中にある物は、基本的に見つけたの者の所有物にしていいことを確認しあった。
「しかし遺跡を調べろっつうのに、自分の物にしていいのかよ」
「もっともな疑問だね、リク君。 でも今回の依頼は、基本的に遺跡の状態や年代を調べることらしいよ」
「えぇ~ ボク状態とかわからなよぉ」
「そこらに関しては、オレとリオに任せとけ。 おまえらは経験積みと荷物持ちだ」
そして各々が思い思いの事を言い合い、東の遺跡に出かけることになった。