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ぬいぐるみに囲まれた王子様は魔法使い2

「アズサ様、貴方のぬいぐるみを生かした戦い方を僭越ながら指導させて頂きたいと思います」

 ハキハキとした口調で話すヤクトの口元だけを一点に見つめるアズサ。

 見つめている理由? それは極めて簡単な答えである、“吸血鬼なのに牙がないのは何故か”……そんな単純な疑問からくる凝視なのである。

 そんな視線を異論があるんじゃないかと勘違いをしたヤクトは、

「やはり大切なぬいぐるみですものね、戦い方別の方法に致しますか?」

 と、ヤクトの提案に対して全く異論などないアズサにとっては検討違いの疑問であり、逆に頭上に疑問符を浮かべるハメとなって場は周りから見れば不思議な光景にしか見えない。

 やっぱり、ヤクトの過去の話をあまり根掘り葉掘り聞くべきではないと判断したアズサは、相変わらずの片言な喋り方で何ごともなかったように話しかけた。そんな主の姿に疑問を抱きつつも、あまり深追いをしようとはしなかった。


◇◆◇◆◇◆


「良いですか、アズサ様。貴方には“精霊使い”もしくは“妖精使い”としての特訓を受けてもらいます。一見、妖精使いと精霊使いは魔法使いに入らないのではないかと思われるかもしれませんが……、一応国の規定によれば妖精使いと精霊使いは魔法使いと呼ばれるのが規定です。

本題に入りますが、何故妖精使いと精霊使いとなる特訓をアズサ様に受けて頂くのかと申し上げますと、今の妖精精霊は魂の状態でこの世界をうろうろとさ迷っています。そのため、契約するためには何かに憑依させる必要があるのです。

ですから、妖精精霊を貴方のたくさん想いが込められているぬいぐるみへと憑依させ、妖精精霊達のより強い力を引き出すことが出来る訳であります。

そのためには色々な下準備が必要なのです。貴方がある程度強くなること、妖精使いや精霊使いが使う杖を注文すること、そして身体能力、視覚聴覚嗅覚の三つの感覚の向上を目指し、特訓していかなければなりません。何よりも問題なのがアズサ様の女性恐怖症であることです」

 まるで教師かのように丁寧に一つ一つを教えてくれるヤクトの話を真面目に聞きながら、女性恐怖症であることの話に触れた途端、前世でされたことについての記憶が思考回路を駆け巡り、恐怖のあまりアズサを体を硬直させる。

 そんなアズサの反応に、別に治せと言っている訳ではありませんと呟き、とても申し訳なさそうな顔をした後、そんな表情から一変して真剣な表情をしながらさっき以上にとても優しい声で、まるで言い聞かせるような口調でヤクトはこう言った。


「良いですか、精霊妖精とは自分の望む性別へと変化することが出来ます。

だから、この世界では精霊妖精の存在には性別の境がないと言う認識か一般的とされてします。

妖精精霊にも自分の意志があります。お優しすぎる貴方には性別の強制は出来ないでしょうし、そう言う面で女性恐怖症だと契約するのも大変になると言いたかっただけですし、誰だって苦手なものはあるのですから無理して女性恐怖症を治す必要はありませんよ」


 そう言われてやっと、恐怖からくる体の硬直から解放されたアズサ。

 そんなアズサはまあ治そうと思う努力はしようと決意したのだった。



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