剣士は悩み、迷走する〜幕間、女神は探し、見つけた
※本日二話更新でございます
迷走する5と幕間同時です
「……またですわ」
世間から“女神”と呼ばれる彼女は、長年探し物をしていた。
いや、探し物ではなく探し人といった方が正しいかもしれない。彼女は、ある一定の魔力量の高さを持つ人を探していた。
彼女は慈悲深い生の神であり、反面死をも司る神でもある。けれども神といえど万能ではなく、願うことは以外と叶わないことが多い。
彼女はある願いを叶えるために、探し人を長きにわたり探してきた。一定高い量の魔力という条件もそのためだった。
いままで、ずっとずっと探し回った。気付いたら五百年経つほどに。魔力だけなら条件を満たすものはたくさんいた。
「魔力だけなら駄目ですのよ」
魔力量だけなら、駄目。ただ魔力量が高くても、それを御せる器であり、かつ女神が考えている方法にその魔力量を適用できる魔力の質でないといけない。
魔力の量と、質、そして器。これがなかなか揃わない。
探し始め、ついに次代の魔王まで生じてしまった。もしやと思い魔王を見るも、違った。
かつて先代魔王は、先代勇者に倒され消滅する寸前に、先代勇者に呪いをかけた。その呪いから先代勇者を解放すること、それが女神の目的であった。
呪いは女神ですら解けなかった。最初は解き方すらわからなかった。けれどももしかしたら、呪いをかけた張本人である魔王より高い魔力の質、量をほこる者がいたら――魔力をぶつけて、相殺できる。 女神はそう考え計算し、解く術を発見した。あとは見つけるだけ。
「見つけましたわ!」
そして、女神はついに見つけた。先代勇者が、既に十一度目の眠りについたときだった。
続きは明日12時です。




