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Prologue3 職業適性チェックシート

「そんな難しくないから大丈夫。感じたまま、率直にチェックしてったらいいからさ。」


 ね?と、再びコテンと傾げた叶は鉛筆を俺に差し出す。


だから可愛くねぇっての。


鉛筆を受け取りながら「分かりました…」と、徐に職業適性チェックシートの表紙をめくった。




「解んないトコあったら質問してねー」


 端末を叩きだした叶は、パソコンの画面から目を離すことなく俺に声をかける。


 肯定の返事を返して表紙をめくった先には、決して大きくはない文字がズラッと続いていた。


最初は性別や年齢、最終学歴などの簡単なパーソナルチェック。利き手、利き足、利き目なんて何に必要なチェックなんだ?マークシート方式のチェック欄を鉛筆で塗りつぶしていた手が止まる。


「あのー、つむじの位置とか数とか向きとか分かりません。…というか、意味が解らないんですけど。」


「普段気にしないからねぇ。分からない人の方が多いし。どれどれ、見てあげよう。」


 作業の手を止め、立ち上がった叶が俺の頭を覗き込む。


「なんか占いみたいですね。」


 利き手やつむじで職業適正判別の基準になるなら苦労はしない。1ページ目からこれだと先が思いやられる。こんなチェックシート初めてだよ。


「位置も数も向きも普通だね。良くある型だ。」


 心の中で溜息をついていると、叶が俺の頭を見て感想を言った。


あんた、どれだけ人のつむじ見てきたんだと問いたい。きっとココに来た多くの人が叶につむじを見てもらったんだろう。


「占いなんかに使わないよ。只、根底の系統と傾向と経験の特異性が目に見えて現れたりする場所だからさ。」


 俺にはどう聞いても占いのようにしか思えなかったが、叶が「こことそこ、それにチェックして」と指差した四角い欄を鉛筆で塗りつぶす作業を優先した。


その様子を見て、叶は「じゃ、頑張って。」と、再びパソコンに向かった。


つむじの項目を終えた俺は、多少不思議な項目があるにしろ、それで就職が上手くいくなら構わないと思い直し、鉛筆を握る手に力を込めた。






―Q.人前に立つことが好きだ。 Q.手を動かすことが好きだ。 Q.身体を動かすことが好きだ。 Q.想像することが好きだ。 Q.創造することが好きだ。 Q.計算することが好きだ。 Q.新しい物を探すことが好きだ。 Q.新しい物を見る・聞くことが好きだ。 Q.古い物を探すことが好きだ。 Q.古い物を見る・聞くことが好きだ。 Q.物を集めることが好きだ。 Q.整理することが好きだ。 Q.旅行が好きだ。 Q.知らない場所や物に興味がある。 家にいるのが好きだ。 Q.動物が好きだ。 Q.血が好きだ。 Q.植物が好きだ。 Q.不思議な物に興味がある。 Q.歌や音楽が好きだ。 Q.運動が好きだ。 Q.読書が好きだ。 Q.映画やドラマなどが好きだ。 Q.漫画やアニメが好きだ。 Q.自然が好きだ。 Q.都会が好きだ。 Q.未確認生命体に興味がある。 Q.争い事が好きだ。 Q.周りと違うことが好きだ。 Q.話すことが好きだ。 Q.…―


 数え切れない延々と続く設問項目には全てに『はい』『まぁまぁ』『どちらでもない』『そうでもない』『いいえ』のチェック欄があり、ページ毎の注釈に(※矛盾にこだわりなくチェックしてください。)とあるが、既に矛盾があるかの判別が分からない。


性格の自己判断や興味の対象傾向、休日の過ごし方から味覚の傾向まで設問は多岐に亘る。


深層意識を浚うためか、不思議な項目も混在し、項目が進む程に俺の頭も掻き乱されるように感じる。

全てをチェックし終わる頃には、その職業適性チェックシートに、混沌としたもう一人の俺が映し出されたような錯覚に陥った。



「…終わりました。」


 結構な時間が過ぎたから仕事が落ち着いたのか、目の前の叶は片手に煙草を持ち、ファイルを読んでいる。


「終わったかい。じゃあ、次はこれやってね。」


 ファイルを閉じ、仕上げたチェックシートを受け取ると2枚の書類を換わりに寄越した。


「まだあるんですか?」


 思わず言ってしまった。


「斉藤君の好き嫌い、やりたい仕事とやれる仕事は違うからね。今のは職業適性チェックだけど、これからやってもらうのはスキルアップチェックだからさ。スキルアップチェックをしなくても求人と照らし合わせは出来るけど、それだと次の職場環境に因っては仕事が困難になったりするよ?それじゃぁ楽しくないでしょー?」


 声に不満が滲んでしまうのも仕方ないと感じる量だったと叶も思うのだろう。ちょっと困ったような笑い顔で「これで最後だし」と、頭をコテンと傾げる。


だから、可愛くねぇし。


そのスキルアップチェックをしたからといっても実際にスキルが身に付く訳でもないだろうが、最後と聞き「分かりました。」と、幾分か気持ちが楽になった俺は、取りあえず寄越された書類に目を通すことにした。

こんばんは!夜勤明けで更新が遅くなりました。

今日更新してて、前話の後書きで宣告した更新日付が間違ってることに気付きました。

ごめんなさいm(_ _;)m


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