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私はもう、あなたのものではありません

作者: 小林翼

エリシア・ヴァンクール伯爵令嬢は、幼い頃から不思議な夢を見る体質だった。それは単なる夢ではなく、未来に起こる出来事を映し出す予言の力。最初は誰も信じなかったが、彼女の言葉が次々と現実になるにつれ、周囲の評価は「神童」から「不吉な魔女」へと変わっていった。


特に転機となったのは、十二歳の春に見た予言だった。王都を襲う大火災の夢。エリシアは必死で周囲に警告したが、貴族たちは「縁起でもない」と彼女を遠ざけた。そして三ヶ月後、予言通りに王都の商業区で大火災が発生し、多くの犠牲者が出た。


人々はエリシアを恐れた。彼女の予言が当たることは認めても、それは「災いを呼び寄せる力」だと曲解された。美しい銀髪と蒼い瞳を持つ彼女は、いつしか「銀の魔女」と囁かれるようになった。


それでも一人だけ、エリシアを信じてくれる人物がいた。第二王子フェリクス。彼は幼馴染として、エリシアの優しさと誠実さを知っていた。十五歳で婚約が決まったとき、エリシアは心から喜んだ。フェリクスなら、自分の力を正しく理解してくれると信じていたから。


しかし、その淡い希望は三年後に打ち砕かれることになる。


十八歳の冬、エリシアは恐ろしい予言を見た。フェリクスの領地であるノルトハイム地方を襲う、未曾有の大洪水。雪解け水と豪雨が重なり、河川が氾濫して村々が水没する光景。彼女は震える手で羊皮紙に予言の詳細を書き記し、すぐにフェリクスのもとへ向かった。


「フェリクス様、お願いです。ノルトハイムの住民を高台に避難させてください。三ヶ月後、春の雪解けの時期に大洪水が起こります」

「またその話か、エリシア」


執務室でフェリクスは冷たく言い放った。隣には、最近彼の側に仕えるようになった侍女のセリーヌがいた。彼女は同情的な表情でエリシアを見つめている。


「しかし、この予言は特に詳細で……地図にも印をつけました。氾濫する河川の場所、被害を受ける村の名前、すべて……」

「エリシア・ヴァンクール」


フェリクスは立ち上がり、窓の外を見つめた。


「君の予言はいつも不吉なものばかりだ。災害、疫病、飢饉……そんな話ばかり聞かされて、私がどれだけ心を痛めているか、わかっているのか?」

「それは……」

「王宮の者たちも言っている。君と婚約している限り、私の評判は地に落ちたままだと。『不幸を呼ぶ魔女の婚約者』だと陰口を叩かれるんだ」


エリシアは息を呑んだ。確かに、最近の宮廷での彼女への視線は冷たかった。でも、フェリクスまでが……。


「フェリクス様、私はただ、災害を防ぎたくて……」

「防ぎたい? 君の予言が当たったことで、どれだけの人が恐怖に怯えたと思う? 王都の大火災の後、君を魔女だと糾弾する声がどれだけ上がったか。私が庇わなければ、君は火刑に処されていたかもしれないんだぞ」


セリーヌが小さく咳払いをした。


「殿下、エリシア様もお辛いのだと思います。でも……民の安寧を第一に考えるならば、いたずらに不安を煽るような予言は……」

「その通りだ」


フェリクスは振り返り、エリシアを見据えた。


「エリシア、婚約を解消する。君は今日限りでヴァンクール家に戻りなさい。そして二度と、その忌まわしい予言を口にしないでくれ」


世界が揺らいだ。エリシアは必死で言葉を紡ごうとしたが、喉から声が出なかった。


「で、でも……ノルトハイムの人々が……」

「もういい! 衛兵、エリシア嬢を馬車まで送れ」


城を追い出される形で実家に戻されたエリシアを、父も母も冷たく迎えた。


「予言などという不吉な力さえなければ」と母は嘆き、父は「これ以上、家名に傷をつけるな」と釘を刺した。エリシアは自室に閉じこもり、三日三晩泣き続けた。


それでも、彼女の心の中には一つの決意が芽生えていた。フェリクスは自分を捨てた。でも、罪のない人々まで見捨てることはできない。


エリシアは密かに屋敷を抜け出し、ノルトハイム地方へと向かった。そして村々を回り、住民たちに直接警告した。最初は誰も信じなかった。しかし、彼女が過去の予言の的中率を説明し、必死で訴え続けると、何人かの村長が動いてくれた。


「もし本当なら、準備して損はない」


そう言って、高台への避難路を整備し、食料を備蓄してくれた村もあった。一方で、「魔女の戯言」と一笑に付す村もあった。


そんな中、エリシアは一人の青年と出会った。ノルトハイムの村を警護する騎士、レオン・グレイウルフ。二十五歳の彼は、辺境騎士団の副団長として、領民の安全を守る任務に就いていた。


「あなたが、予言者だという……」


レオンは、避難準備を進める村でエリシアに声をかけた。深い緑色の瞳と、鍛え上げられた体躯を持つ青年。しかし、その眼差しには敵意ではなく、純粋な好奇心があった。


「はい。でも、信じていただかなくても構いません。ただ……」

「いや、信じる」


レオンは即答した。


「俺は平民出身だ。貴族みたいに体面を気にする必要はない。大事なのは、領民の命を守ること。あんたの予言が本当なら、俺は全力で避難計画を支援する」


エリシアは驚いて彼を見上げた。こんなにも素直に、自分の言葉を受け入れてくれる人がいるなんて。


「ありがとう、ございます……」

「礼を言うのはこっちだ。あんたは、命がけでここまで来たんだろう? その覚悟に、俺は応えたい」


レオンの協力により、避難計画は加速した。彼は辺境騎士団を動員し、村々に避難を呼びかけた。団長は「王子殿下の許可なく動くな」と反対したが、レオンは構わず動いた。


「団長、俺は騎士になった時に誓ったんです。民を守るって。王子殿下への忠誠も大事ですが、目の前の命はもっと大事だ」


そして運命の日。春の雪解けと、記録的な豪雨が重なった。エリシアの予言は一字一句違わず現実となり、ノルトハイム地方を濁流が襲った。


レオンが避難を指揮した村々は、全住民が高台に避難して無事だった。しかし、警告を無視した村々は甚大な被害を受け、多くの犠牲者が出た。特にフェリクスの居城に近い領都では、城下町の三分の一が水没した。


洪水の後、レオンはエリシアを探した。彼女は避難所で、泥だらけになりながら負傷者の手当てを手伝っていた。


「エリシア!」

「レオン様……無事でしたか」

「無事も何も、あんたのおかげで何百人もの命が救われたんだぞ」


レオンは彼女の手を取った。


「ありがとう。あんたは英雄だ」

「いえ……私は、ただ……」


そこでエリシアは初めて、張り詰めていた糸が切れたように泣き崩れた。レオンは黙って、彼女を抱きしめた。


「よく頑張ったな。一人で、ここまで……」


報告を受けたフェリクスは青ざめた。エリシアの予言は正しかった。そして自分は、救えたはずの命を見捨てたのだ。さらに、レオンが独断で避難を指揮したことを知り、激怒した。


「レオン・グレイウルフを謹慎処分にしろ! 上官の命令を無視した罪は重い!」


しかし、救われた村人たちは立ち上がった。レオンの処分に反対する嘆願書が、何百通も王宮に届いた。そして、エリシアを探す声も高まった。


「銀髪の予言者様はどこに? あの方に礼が言いたい」


フェリクスが慌ててエリシアを探したとき、彼女とレオンの姿はどこにもなかった。


実は二人は、ノルトハイムを離れて王都の商人ギルドを訪れていた。レオンは謹慎処分を受ける前に、辺境騎士団を退団していた。そして、エリシアと共に新しい道を歩むことを決めたのだ。


王都最大の商人ギルド「銀鱗商会」のギルドマスター、ディラン・アッシュフォードは、四十代半ばの豪商だった。亡き妻への愛を貫き、再婚せずに商売一筋で生きてきた男。彼には特別な才能があった。「価値あるもの」を見抜く目だ。


ディランは、洪水前にノルトハイムを訪れていた。そこで必死に村人たちに警告するエリシアの姿を見ていた。そして洪水の後、彼女の予言が完璧に的中したことを知った。


「これは……商機だ」


ディランはエリシアとレオンを探し出し、ギルド本部に招いた。


「エリシア嬢、そしてレオン殿。お二人の力を我が商会のために使ってくれないか」

「え……?」


疲弊しきったエリシアは、困惑した表情で商人を見上げた。


「エリシア嬢の予言は本物だ。それも、極めて精度が高い。この力を災害予知だけでなく、商業に活用すれば……いや、商業に活用することで、より多くの人を救える」

「商業、ですか?」

「そうだ。例えば、豊作や凶作を予測できれば、飢饉を防げる。疫病の流行を予見できれば、薬草の準備ができる。商路の危険を察知できれば、キャラバンの命を守れる。エリシア嬢の力は、使い方次第で最高の『救済』になるんだ」


エリシアの目に、久しぶりに光が宿った。


「私の力が……人を救える?」

「ああ。そしてレオン殿には、商会の護衛隊長になってもらいたい。あなたの指揮能力と、民を守る精神。それは商会にこそ必要だ」


レオンはエリシアを見た。彼女が小さく頷くのを見て、答えた。


「わかりました。俺は、エリシアを守りながら働けるなら、どこでもいい」


ディランは優しく微笑んだ。


「では、正式に雇用契約を結ぼう。ああ、それと……エリシア嬢。もし良ければ、私の養女になってくれないか。これは仕事とは別の、個人的な願いだ」

「養女……?」

「私には娘がいない。あなたのような聡明で勇気ある娘がいたら、亡き妻も喜んでくれると思うんだ。もちろん、嫌なら雇用関係だけでも構わないが」


涙が溢れた。婚約者にも、実の両親にも見捨てられたエリシアに、初めて無条件の信頼を示してくれる人がいた。


「お願い、します……父上」


こうしてエリシア・アッシュフォードが誕生した。そして、レオンは商会の護衛隊長として、常にエリシアの側で働くことになった。


それから一年。エリシアの予言は、銀鱗商会を飛躍的に成長させた。


「次の収穫期、西部地域で干ばつの予兆があります。今のうちに東部から穀物を買い付け、西部に備蓄倉庫を」

「北の港町で疫病が流行します。三ヶ月後。今から薬草と清浄な水を確保して」

「東の交易路、盗賊団が潜んでいます。迂回路を使うか、護衛を倍増させてください」


すべての予言が的中した。そして、その予言に基づいて動く商会を、レオンが守った。彼の指揮する護衛隊は、どんな盗賊団も撃退し、どんな危険な交易路も安全に通過した。


二人は毎日、顔を合わせて働いた。最初は仕事仲間だった関係が、いつしか変わり始めていた。


ある日、エリシアが深夜まで予言の分析をしていると、レオンが温かいお茶を持ってきた。


「また遅くまで働いてるのか。体を壊すぞ」

「大丈夫です。これが終わったら……」

「大丈夫じゃない」


レオンは強引にペンを取り上げた。


「あんたは、自分を大切にしなさすぎる。予言で人を救うのは素晴らしいことだが、あんた自身が倒れたら意味がないだろう」

「でも……」

「俺の仕事は、商会を守ることだ。そして、あんたを守ることでもある」


レオンは真剣な目でエリシアを見つめた。


「なあ、エリシア。俺はあんたが好きだ。ノルトハイムで初めて会った時から、ずっと」


エリシアは息を呑んだ。


「レオン様……」

「俺は平民出身の元騎士で、あんたは伯爵令嬢だった。身分が違いすぎるのはわかってる。でも、今は二人とも商会の人間だ。だから……」


レオンは膝をついた。


「俺と一緒にいてくれないか。あんたを守りたい。あんたの側で、ずっと」


エリシアの頬を涙が伝った。今度は悲しみの涙ではなく、喜びの涙だった。


「私も……レオン様が好きです。ずっと、ずっと……」


二人は抱き合った。予言者と騎士。かつては決して交わることのなかった二つの道が、今、一つになった。


商会の評判が上がるにつれ、貴族や王族からの依頼も増えた。そして、ある日。


「フェリクス王子殿下が、ギルドマスターとの面会を求めておられます」


報告を受けたディランは、隣に座るエリシアを見た。彼女の手を、レオンが握っていた。


「会うか?」

「……はい。もう、逃げません」


応接室に通されたフェリクスは、一年前よりも憔悴していた。ノルトハイムの洪水後、復興に追われ、さらに彼の判断ミスを責める声も多かったという。


「ディラン・アッシュフォード殿、お忙しいところ恐れ入る」

「これはこれは、王子殿下。ご用件は?」

「実は……銀鱗商会の情報網について、教えていただきたい。いや、率直に言おう。貴商会には、予言者がいるのではないか?」


ディランは表情を変えなかった。


「予言者、ですか。殿下は予言などというものを信じておられるので?」


フェリクスは苦い表情になった。


「信じていなかった。いや、信じたくなかった。しかし……ノルトハイムの洪水で、私は過ちを犯した。ある人物の警告を無視し、多くの命を失った」

「その人物とは?」

「エリシア・ヴァンクール。元婚約者だった女性だ。彼女は予言者だった。私は……彼女を『不吉な魔女』だと切り捨てた。そして今、彼女の予言が正しかったと証明された」


奥の扉が開いた。そこにエリシアが立っていた。その横には、レオンがいた。


「お久しぶりです、フェリクス様」


フェリクスは立ち上がり、目を見開いた。


「エリシア……! それに、レオン……お前も!」

「殿下」


レオンは冷静に一礼した。


「俺は殿下への忠誠よりも、守るべきものを選びました」


フェリクスは二人の間にある、見えない絆を感じ取った。


「エリシア、君は……この男と?」

「はい」


エリシアはレオンの手を取った。


「レオン様は、私を信じてくださいました。私の予言を、私自身を。そして今、私たちは共に銀鱗商会で働いています」


ディランが穏やかに微笑んだ。


「ええ。エリシアは私の大切な娘です。そして我が商会の最も貴重な人材でもある。レオンは最高の護衛隊長です」


フェリクスは二人に駆け寄ろうとしたが、エリシアの冷たい視線に足を止めた。


「エリシア、私は……謝罪したい。あの時、君を信じなかった。いや、信じていたのに、周囲の声に流されて君を切り捨てた。多くの人が死んだのは、私の責任だ」

「そうですね」


エリシアの声には感情がなかった。


「でも、私を呼び戻したいのなら、お断りします。私はもう、あなたのものではありません」

「わかっている。ただ……せめて、もう一度協力してほしい。君の予言を、私の領地のために」

「お断りします」


即答だった。


「なぜ?」

「あなたは私の予言を『不吉』だと言いました。人々を恐怖に陥れるものだと。では、なぜ今さら頼るのですか? 困ったときだけ都合よく利用する。それは、私を認めることではありません」


フェリクスは言葉に詰まった。


「しかし……」

「それに」


ディランが口を挟んだ。


「我が商会の情報は、正規の契約を結んだクライアントにのみ提供しています。殿下がもし、正式に銀鱗商会と契約を結ぶのであれば、エリシアの予言も含めた情報提供を検討しましょう。もちろん、相応の対価をいただきますが」

「対価……」

「ええ。我々は慈善団体ではありません。商会ですから」


フェリクスは複雑な表情で三人を見つめた。かつて婚約者だった女性が、今や高名な商会の養女として、そして平民の騎士と愛し合いながら、対等……いや、立場的には自分より上から交渉している。


「エリシア、君は……変わったな」

「変わりました。あなたに捨てられて、自分の価値を見出してくれる人に出会って。そして、本当に私を愛してくれる人に出会って」


エリシアはレオンを見上げた。レオンは優しく彼女の肩を抱いた。


「私はもう、『不吉な魔女』ではありません。『銀の分析官』です。そして……」


エリシアは左手を見せた。そこには、質素だが丁寧に作られた指輪が光っていた。


「レオン様の婚約者です」


フェリクスは愕然とした。完全に、彼女を失ったのだ。


その後、フェリクスは商会と正式な契約を結んだ。ノルトハイム地方の復興には、エリシアの予言による気象予測や物資需要の分析が大いに役立った。しかし、それは冷徹なビジネスライクな関係だった。


一方、セリーヌとの婚約を発表したフェリクスだったが、彼女には予言の力はなかった。ただの侍女に過ぎなかった彼女は、復興事業の難しさに耐えきれず、婚約から半年で逃げ出した。


二年後。エリシアとレオンは正式に結婚した。ディランが花嫁の父として、娘を祭壇まで導いた。


「エリシア、幸せになれ」

「はい、父上。ありがとうございます」


式には、エリシアに救われた村人たちが何百人も参列した。かつて「銀の魔女」と呼ばれた少女は、今や「銀の賢女」として慕われていた。


そして、レオンは誓いの言葉を述べた。


「エリシア、俺は一生、あんたを守る。あんたの予言を信じ、あんたと共に歩む。どんな未来が待っていても、俺たちは一緒だ」

「レオン様……私も、あなたと共に」


二人が口づけを交わすと、会場は歓声と拍手に包まれた。


フェリクスは招待状を受け取ったが、出席することはできなかった。かつて自分が手放した宝石が、今や誰の手にも届かないほど輝いていることを、認めるのが辛かったから。


結婚から三年後。エリシアとレオンの間には、双子の子どもが生まれた。予言の力を受け継いだ娘と、父親譲りの騎士の才能を持つ息子。


ディランは孫たちを抱いて、満面の笑みを浮かべた。


「エリシア、お前は本当に幸せそうだな」

「はい、父上。レオン様と出会えて、この商会に来られて……すべてに感謝しています」


レオンは妻の肩を抱いた。


「俺もだ。あの時、ノルトハイムであんたに出会えて良かった。あんたの予言を信じて、本当に良かった」


銀鱗商会は大陸最大の商会へと成長し、エリシアの予言は「銀の予測」として絶対的な信頼を得ていた。レオンの護衛隊は最強と謳われ、どんな危険な任務も完遂した。


そして何より、二人は深く愛し合っていた。毎朝、共に目覚め、毎晩、共に眠る。エリシアが予言の重圧に押しつぶされそうになると、レオンは優しく抱きしめた。レオンが任務で傷を負って帰ると、エリシアは涙を流しながら手当てをした。


「あなたが無事で良かった……」

「大丈夫だ。あんたのもとに、必ず帰るって決めてるから」


ある日、エリシアは新しい予言を見た。それは災害ではなく、幸福な未来の光景だった。白髪になった自分とレオンが、孫たちに囲まれて笑っている姿。


「レオン様、私たちの未来が見えました」

「どんな未来だ?」

「とても……とても幸せな未来です」


エリシアは微笑んだ。予言は呪いではなかった。それは、正しく使えば最高の祝福となる力だった。そして、自分を信じてくれる人がいれば、どんな困難も乗り越えられる。



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― 新着の感想 ―
ほんとに。 婚約者は、将来手を携えて同じ道を歩む、と約束した間柄だと思います。略奪したのなら、死ぬまで略奪した物件と共に生きるべきですね。それが筋だと思います。
養女になったのは将来的には商会を継ぐためかな? こんなに当たる予言持ちが平民なら他の国に攫われそうだけど、それすら予知してるのかな? 旦那になった騎士がいつまでも嫁を「あんた」と呼ぶのがちょっと気にな…
略奪クソ侍女にざまぁを。 逃げ出すぐらいなら婚約者の座を略奪すんな。
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