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最強の剣を使いこなせないのは俺のせいだろうか?  作者: 喵柱


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3.招待


手紙が届いた。

虹色だった。


全身に冷や汗が流れる。

「人生でこの色の手紙を目にするとは思わなかった。」

滞納や借金はしていないはずと深呼吸して

震える手で不器用そうに手紙を開くと中には【召集命令】

と書かれていた。


「何処から情報が漏れたんだ? 」

何度見直したかわからない書類に目を通す。

購入した武器を必ず持参し、政府の研究施設へ出頭するように。

まるで武器の所持を前提とした内容だった。

通販サイト以外にあり得ないか、と続きに目を通す。


用紙には罰則も記載されており、従わない場合は逮捕や罰金が発生する可能性もあるらしい。


「行かない訳にはいかないか。」


諦めて書かれた番号に電話するとワンコールで繋がり、想定以上に丁寧な対応をされた。

終いには当日、送迎のため運転手を付けてくれるという至れり尽くせりだった。




ピンポーン! 


約束の日、チャイムの音で玄関を開ける。

「お迎えに上がりました。佐藤様」

エージェントと言うのだろうか?黒服、サングラスの男が2人立っていた。

「今、行きます。」

大きな段ボールを抱えてリムジンに乗り込んだ。

(帰って来れるのだろうか?)

不安を胸に車に揺られ続けるのだった。


着いた所は旧国技館であった。

現在はダンジョン対策本部として貸し出されているようだ。


待合室入口だけでなく、至るところにライフルを持った軍人がおり、明るく話せる雰囲気ではなかった。

待合室を見渡すと9人の男女が各々のケースを抱え待機していた。

自分のように段ボールを抱えているものはおらず、少しだけ恥ずかしく思った。


「佐藤 (たける)さん」

「はいっ! 」

名前を呼ばれ立ち上がると、移動を促され別室へと向かった。


そこはまるで面接場だった。

机と椅子しかない空間にはスーツを来たおじさんが3名待機しており、着席を促された。

「失礼します! 」

着席すると名前を確認され、武器の場所や購入動機を聞かれる。

「Gakutenで購入しました! 」

いつか見た会見のように答えたが訝しげにこちらを見るおじさま達はさらに確認する。

「何故購入したのかね? 」

「身を守る為です! 」

「手放す気はあるかね? 」 

「無いです! 」

「二億まで出せますが。」

「無理です! 」

ひとつひとつしっかりと答えた後、面接官のため息と共に別室に移動するよう促された。


そこでは身体検査を行った。

また別室に移動を促された。

(まるで注文の多い料理店だな)

自らの待遇を鑑みていると急ぐように声がかかりそれに従った。


研究員らしい人に武器を取り出すように言われた。

ペコんと開かないように織り込んだ段ボール箱を開けて剣を取り出す。


「武器の特性は把握していますか? 」

事務的に問いかける女性に答える。

「はいっ! この武器は切ることが出来ませんが物体に対して反発力を発揮します。」

「実践出来ますか? 」

首を傾げた研究者に聞かれたので、上段構えから床に剣を振るうと床面にあたるはずの剣はバネのように反発し跳ね返り、巻き戻しのような軌道をする。

勢いのまま転倒し無様な姿をさらすが、研究員に助け起こされる。


落ちた武器を拾おうとした研究員だったが拾おうとした武器が床を滑り、回収することは叶わなかった。

「これは? 」

「帰属特性かもしれません。」


研究員が何やら盛り上がっている中、足元に滑ってきた剣を拾いあげた。


「ありがとうございました。」

ひと通り書き記した職員に送り出され、会議室のような部屋で待機するように言われた。

空いていた席が徐々に埋まり、10人揃った所で貫禄のある軍人が登場した。

「三島五十六です。

よろしくお願いします。

これから皆さんにはふたつの選択をして頂きます。

ひとつ、武器を手放し平穏な日常に戻る権利。

ひとつ、武器を手にモンスターに立ち向かう権利。


残念ですが、今の日本には君たちの武器を腐らせる余裕はありません。

それを前提に選択して頂けると幸いです。


また、武器を手放すという者はこのまま部屋を出ていっても構いません。」



部屋を出るものは無いようだ。


それを眺めて五十六さんは続けた。

「これより皆さんはシーカーとしてダンジョンの探索を行っていただきます。」

「その名の通り、ダンジョンの探索をすることになりますが、注意点が幾つかございます。」

色々と説明があったが、最初はスリーマンセルで探索し人命最優先とする方針のようだった。



ダンジョンの探索というロマン溢れる言葉に明るい未来を感じる健であった。


探索の日程が決まり、集合時間30分前に現地到着した。

「No.1早い到着ですね」

軍人さんが迎えてくれる。

なぜ、番号で呼ばれるのかと言うとプライバシー保護のためだそうだ。


通販で購入した商品No.毎に呼び名が分けられているようで、No.が記入された腕章を腕に装着すよう指示された。


これで見分けが付かないことはないなとNo.1と刺繍された腕章を見つめ考えた。


テントで待機していると笛の音と共に声が掛かった。

「第一班集合! 」

駆けつけると既にふたりが揃っていたのでそのまま合流する。

どうやら自分の班はNo.1(たける)とNo.5、No.7の3人構成で探索するようだ。


侵入前に心構えについて説明があった。

緊張の中、ダンジョンへと侵入する。

「今回は初回なので説明通り無理な戦闘は避けて行きましょうか?」

紅一点、No.5が方針を問う

「え~戦闘しようぜぇ」

No.7は好戦的なようだ。

ふたりの視線がNo.1に集まる。

「無駄な戦闘は避けたいが、武器に慣れる必要もある。状況次第で柔軟に対応策していこう。」

と無難な回答をするのだった。


ダンジョンのイメージとはかけ離れた近代文明を感じる機械の壁を頼りに進んで行く。


「ギギギッ」


緑の小鬼(ゴブリン)が前方に立ち塞がった。


「やるしかないか」

一本道を進んでいたため戦闘を避けては通れないと考えた一同が武器を構える。

「今回は俺に任せてくれ! 」


この場では最年長であるNo.1が先陣を切ると宣言しモンスターに向けて駆け出した。


上段構えで剣を振り下ろす。


「はっ」


切断するかのような勢いで振り下ろされたそれはモンスターが頭部を守るようにして構えた棍棒と重なり、共に弾かれた。

「ふんぬっ」

全身全霊の力を込めると弾かれた剣が上段の構えで停止する。


幸いなのはモンスターがよろめき、明らかにダメージが蓄積されている様子であったことだ。


「はっ」

もう一度、剣を振り下ろした。

ふらつくモンスターはそのまま頭部に直撃を受けて凹んだ頭で地に倒れ伏す。


歯を食い芝って反発力に耐えようとするが、勢い余って尻餅をついた。


「大丈夫ですか!? 」

と駆け寄る2人に笑顔で大丈夫と伝えるが、内心はモンスターを討伐出来たという事実に高揚する気持ちが抑えられそうにないほど、心臓が高鳴っていた。


モンスターは何も落とさなかった。

消滅する姿を不思議そうに見届けてから次の探索に向かう。



このダンジョンはいわば宇宙船の通路のような印象で、モンスターと遭遇すると戦うか、逃げるかの二択になりそうだった。

隠れるための部屋があれば良いのだが、通路に扉のようなものは見当たらない。


「モンスターだな。」

「えぇ。」

「次、俺行って良いッスか!? 」


先程と同じゴブリン型のモンスターを視界に捕らえ、話し合った。

発言が軽そうに感じる少年に少しだけ不安を感じるが、ひとりで戦い続けても意味は無いだろうと送り出しすことにした。


「気を付けてな。」

No.7に声をかけるが、ぴょんぴょんと跳び跳ねて準備運動する彼には届いていないのだろう。


こちらに向いていたゴブリンが振り向いたタイミングでNo.7が走り出す。


高校生にしか見えない若そうな見た目通り、俊敏な動きだった。

ナイフのように小さい武器を逆手に構えゴブリンに肉薄しそのまま首もとに刺した。

刺されたゴブリンは緑色の液体をばらまきながら息絶えた後、消えていった。

「うっひよぅ! 楽しいぃ! 」


「やるじゃないか! 」

喜ぶ少年に声を掛ける中年は思った。

少年の戦闘は【一撃】だった、と自分の戦闘と比べて不甲斐なさを感じ反省するのだった。


その次からモンスターは交代で戦闘する事になったが、紅一点のNo.5は戦闘を渋ったため、ふたりで交代することにした。


4度、戦闘を行ったがついぞ一撃でゴブリンを倒すことは出来ず、あまつさえ転倒してしまうことがある始末だった。


「よっと」

慣れた手つきでNo.7がナイフを引き抜く、一撃で倒している彼だが、どうやら武器属性は毒性でどちらかと言うと長時間の戦闘に長けているとのことだった。


自分の武器属性を聞かれた時は何でも跳ね返す【反発】のようであると説明した。


No.7が鼻で笑うがNo.5が「飛び道具に強そうですね。」と答えると「そういった場面ではお願いしますねぇ」と真面目な顔になった。


「扉だな」

目の前には今まで確認することが出来なかった扉がある。

入るか、引き返すかと悩んでいると。

「流れからみて、ボス部屋でしょうか? 」

とNo.5から意外な発言が出た。

「行っちゃいましょうよぅ! 」


はしゃぐNo.7に「危なければすぐに引き返すぞ」と注意して扉を開けた。

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