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落語家の目指すモノ  作者: するめ
第二章 
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二章4 [若トリ]

あの師匠たちはあの後帰り支度をしてすぐに帰ってしまった。

その出来事は、昼の部でありまだ昼の部のトリもある。


その昼の部のトリが今楽屋へと入って来た。

歳はとても若く見え、なんというか例えるなら猫のような人。


今古亭(こんこてい)の旦那荷物を…」


「いいのいいの、このくらい自分でやるから」


手荷物を置き、紙袋の荷物を持って着替えに行った。

桐丸兄さんは旦那と呼んでいたが、そこまでは歳をくっていないように見えるから不思議に思い聞いてみると、なんと来年には還暦だと言うのだ。


どうみてもうちの父さんより年下に見えるのに還暦なんて、何かの冗談だろうと疑っていると、トリの前の前の演者が本当だと教えてくれた。


本当に信じられない。

二十代だと言われれば信じてしまうほどに若く見える。


そんな事を思っていると着物に着替えた今古亭の師匠が入って来た。

着物を着ると一気に雰囲気が変わって見える。


若い見た目ではあるものの、オーラというか、威圧感というか、目には見えないがそういうものを感じる。

確かにこの姿を見せられると納得せざるを得ない。


そんな風に師匠を見ていると、あちらも気づいたのか歩み寄って来た。

なんというか懐かしい顔でも見たような反応。


「お前さん若い頃の慈昭によく似てるな」


おっと、俺が感じた反応は間違いでは無いようだ。

なにせ実際に懐かしく思っているような言葉をかけて来たからだ。


「実際息子ですから」


その一言で視線が一気集まった。

俺以外の前座の3人は口を開け驚いている。

他の師匠達は、なるほど、と言いて何かを考えている様子。


「そうかそうか、そうだな…よしお前さん俺等の高座、袖で見な」


少しだけ考えてから師匠はそう言った。

トリの高座を袖で見れるなんて、またと無い機会だ。

こんなチャンス逃すわけにはいかないだろう。


「是非そうさせていただきます」


「楽しみな、この今古亭()(りゅう)の落語をな」


まだトリの前の高座が終わっていないので少し時間があるが、楽しみで仕方がない。

楽しみ過ぎて仕事が少し疎かになっていると、桐丸兄さんから怒られてしまった。


だが今日はもうゲンコツは飛んでこないだろう。

どこかそんな気がする。


噺が終わりに近づき、志ん柳師匠が楽屋を出て行くのに俺もついて行く。

袖に着く頃に前の演者の噺が終わった。


噺が終わって戻って来た人は40歳ぐらいの師匠でその師匠も真打だ。

戻って来た師匠は志ん柳師匠と何かを話していた。


前の師匠も舞台袖で高座を見るようだ。

出囃子の音が鳴り始めると少ししてから袖から師匠が出って行った。


志ん柳師匠が出て行くとすぐに、


「君前座だろ仕事しなくてもいいのかい?」


少し細身な師匠から優しく問いかけられた。


「志ん柳師匠から袖で見なさい、と言われたので」


「そうかい、それならなんの問題もないね」


自分を心配してくれる優しい師匠だ。


「君しっかりと見ていなさい。真打の中でも一握りの大看板の一席だからね」


大看板?

知らない言葉だ。

そう思い聞いてみた。


「大看板というのは、1人で寄席を満席にしてしまうほど人気のある人たちのこと」


「ありがとうございます」


「ほら、そろそろ始まるよ」


そう言われて舞台の方に目をやると、志ん柳師匠が頭を上げて噺を始めようとしていた。

ちょっと忙しくて文量少なめですね

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