白菜が高いどころか売ってなくて途方に暮れる秋の暮れ
困った。
大変に困った。
よもぎは年がら年じゅう一人鍋を食っている。
お手軽に野菜を食べられて満腹になって満足感があるし、飽きないからだ。
なのに肝心の白菜が少し前から見当たらない。
なじみのスーパーから消えてしまったのだ。
まるごと一個が売ってるならまだいい。
1/8カットや1/4カットを売ってくれているのならまだしも。
しかし、カットした分どころかまるごとも売ってない。
つまりどういうことか?
鍋が…食べられない……。
よもぎの食卓にクリティカルダメージである。
肉ならまだ救済しようがある。
しかし白菜にとってかわる鍋野菜などあろうか?いやない。
あの、煮込んだらとろとろになり、鍋のつゆを吸って旨味を増幅させる感じを、他のどんな野菜なら代用できるというのか。
途方にくれつつ、手を出したのはキャベツ。
同じ葉野菜であるのだから、物足りなさはともかくとしてピンチヒッターたり得るのでは?と思ったのだ。
シャキシャキというかやや硬い触感であるのだからと念入りに煮込んでいざ実食。
なんかちゃうな。
煮込んで尚歯ごたえがあるのもそうなんだけど、思った以上につゆ吸わない。纏ってるだけ。
清楚な和風美人を理想としてるのに黒ギャルがミニ浴衣着てダブルピースしてるの見せられてる感じ。
それはそれで魅力なんだろうけど私が求めてるものはこれじゃねんだわって感じ。
一度でそれを思い知ったので、次に手を出したのはきのこ。
きのこはつゆ吸うじゃん!それに単体でもおいしいじゃん!
というわけで実食。
こちらは元々葉野菜として求めてないのでそれなりの満足感。
きのこの旨味がつゆに溶けておいしさも上がっていい感じ。
でもやっぱ物足りない。
このやりきれなさ、どうしてくれよう。
きのこを続投するとして、物足りなさをどうするか。
野菜をいたずらに増やしてもとろたぷで旨味たっぷりの白菜に勝てるとは思わないので、他で別の満足感を得ようと色々手を出した。
あらびきウインナー。
ポ〇クビッツ。
厚揚げ豆腐。
ちくわ。
がんも。
いずれも美味しい。
つゆの旨味を吸うし自身の旨味をつゆに出してくれる。
しかしいずれでも白菜のあの名脇役としての働きには勝てない。
心の中心が叫んでいる。
白菜が食いたいと。
今の季節、白菜が消えていることがなかったので大変困っている。
というかそろそろ出番で旬のはじめくらいの野菜じゃないの?白菜って。
今から春までずっと引っ張りだこな存在だと思うんだけどな。
そんなことを考えながら手を変え品を変え騙し騙しで鍋を食う。
今日はシンプルにきのこと豆腐と鶏肉の鍋にしよう。
白菜くんがよもぎの周囲に出回ることを祈って。