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71話:「予想外の遭遇」
外履きに替えて二階の昇降口から帰宅しようとした大平下は、咄嗟に他人の気配を察して近くの手すりへと身を隠した。視線の先、すなわち裏門前には担任の宇都宮の姿があった。真横にいる少女と何やら会話を交わしている。奥には見慣れない黒いメルセデスベンツがあった。
大平下はただ茫然と様子を伺っていた。距離はあれ、彼に少女の正体を見抜けない訳がない。なぜなら、遠くからでも分かるそのフォルムは、自分の高校生活を散々にかき乱した蒲須坂そのものだったからだ。騒動以降さっぱりと切り、肩口で整えているブルネットの頭髪。ジャラジャラとキーホルダーを付けている鞄の持ち主は他にない。彼女はあの日以降、いわゆる保健室登校で日常を過ごしていたのだろう。会話の最中に見えた表情からはとてもそうとは思えないものの、トラウマという病が根深いことは重々承知している。それを引き起こした原因が自分であることも。
やがて彼女はおそらく両親が運転しているに違いない高級車に乗って裏門から街へと繰り出していった。宇都宮は車が見えなくなるまで手を振っていた。まるで旧来の友人のように。いつも疲れた顔をしている彼しか知らない大平下にとっては奇妙な感覚だった。
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まだ続けます。




