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70話:「今日は時期が悪いからもう帰ろう」

 時間いっぱい逃げ切った大平下が教室に戻った時には、もう既にクラスメイトは誰もいなかった。次の授業は化学。言うまでもなく移動教室だった。失念していた。案の定教室は施錠されており、大平下は重い足取りで理科室へと移動する。


 理科室では特に実験などが行われている様子はなかった。けれども、教卓に手を掛けて饒舌に語るベテランのおっさん教員の圧が強すぎて簡単には中へと侵入できない。以前みたいに空気のようにさりげなく合流することもできなくはないが、さすがに教員間でも札付き扱いをされているだろう自分にはもう厳しい。この手の教員は普段そう簡単に怒りはしないものの、授業が妨害された時の激昂は生徒指導も優に超える。怒らせてはいけない人物の見極めほど大事な技術は存在しないだろう。


 悪戦苦闘ののち、今日は帰宅するべきだと判断した大平下は玄関へと歩みを進める。鞄はどうするんだとかそんなことはどうでもいい。制服のポケットに常時しまっている定期券さえあれば帰宅はできる。戦略的撤退。時期が悪いともいえる。幸い化学は春先の騒動以来真面目に授業を聞いていたため単位にも問題はなかった。


 ――この時の判断が大平下を苦しめることになろうとは、その瞬間に至るまで彼には理解できていなかった。偶然とは怖いもので、運命とはもはや必然なのだろう。


いつも閲覧・ブクマ・いいね等々ありがとうございます。

思いつく限り続くはずです。

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