67話:「教室」
久々に教室の扉を開く。ガラガラという音と共と集まる視線に、大平下は図書準備室に逃げ込んだいつかの日を思い出す。あの時とは異なりこちらに向かってくる輩はただのひとりもいなかった。誰もが大平下との距離を測りかねているようにみえる。
「そりゃそうか」
大平下は内心毒づいた。クラスメイトからしたら自分は文化祭という平和の祭典で大暴れした無法者である。しかも、余波として校則をより厳しくさせてしまった。一度決められてしまったルールは簡単には緩まることはない。お偉いさんに大義名分を与えてしまった失態は卒業まで付き纏ってくるだろう。
黙って自分の机まで移動する。幸いなことに引き出し内にあった私物への嫌がらせは行われていないようだった。
大平下は行きの電車内で読んでいた『たったひとつの冴えたやりかた』を鞄から取り出す。読書は一日一〇分行うだけでも精神を落ち着かせる効果があるとか何とか。ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアみたいに自分の頭を拳銃で打ち抜きたくなる気分だった彼にとって、それは今まさに必要な作業であった。
程なくして、担任の宇都宮が教室へとやってくる。無謀な少女とエイリアンの世界に浸っていた大平下は、その陰鬱そうな声を聞いて現実へと引き戻された。
「起立、礼」
朝の号令をかけたのは国定だった。久々に見た奴はいつの間にかクラスのリーダーへと再臨している。一方、蒲須坂の席はやはり空白のままだった。
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お盆は台風で予定が吹っ飛んだので全力で甲子園見てました…… 今大会内野手上手い子多い気がします。それに出てくる高校みんな投手が左腕な気がする。




