66話:「病室にて」
どれくらい時間が経ったのだろうか。病室の窓から射す光は夕陽のそれからすっかりと変わっていた。絵具でベタ塗りしたような変化のない青空を眺めていた大平下の元に来客が現れる。覇気のない声。担任の宇都宮だった。季節に準じたクールビズ使用のスーツを身に纏い、重そうな革鞄を持っている。
「おはようございます。体調は如何ですか」
「相も変わらず最悪です」
義務感の付き纏う世間話に返答すると宇都宮はこれまた胡散臭い造り笑顔を見せた。目元には苦労の証である隈がくっきりと滲み出ている。迷惑をかけてしまって申し訳ない。
「そうですか。先生も最悪ですよ。これからまた仕事が増えるのですから」
穏やかな雰囲気で話す宇都宮はゆっくりと書類を取り出す。それが何なのか、皆まで言わなくても大平下には理解できた。
「今後の対応です。目を通しておいてください」
「……」
言われるがまま大平下は右手を伸ばしてプリントを自分の方へと移動させる。怪我の影響で首が固定され、仰向けになっている状態なので顔は近づけられない。細々とした文字はこういったシチュエーション下ではいつも以上に読みにくかった。太字で描かれており辛うじて分かったところだけを口にする。
「停学ですか」
「そうですね。そこにある通り、二週間の停学となります」
二週間。それは停学処分としては平均レベルだ。
「ただの休みじゃないですよね」
「ええ、課題の山と夏休みの補習付きです」
余計なことは聞かなければよかった。思わず顔がひきつる。安易な目測はあっけなく崩れ去った。
「冗談ですよね?」
「それならば、どれほど良かったでしょう」
宇都宮は明らかに不満そうな顔をしている。当たり前だが、課題も補習も自分だけでは解決しない。絶対に監督者と採点者を必要としている。
「申し訳ございません」
全てを悟った大平下は素直に謝罪をするしかなかった。それでも宇都宮の表情が緩むことはない。
お久しぶりです。約2か月? 失踪しておりました。というのもリアルの方で色々とありまして……釈明の余地もございません。今後も不定期に消えるかもしれませんが、完結まで何とか走り通したいと存じております。(構想なんて何もない)何卒宜しくお願い致します。




