表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/86

63話:「知らない天井」


 ふと周囲を見渡すと、辺り一面が真っ白な壁で覆われていた。大平下はすぐにここが病室であることを理解する。


「痛っ」


 起き上がろうとしたら体が悲鳴を上げた。特に右手の甲がひびでも入っているかのように強烈な痛みを演出している。


 どうしてこうなったのか、彼には思い当たる節がない。というか、教室で男に制服の首根っこを掴まれたところで彼の記憶は途切れていた。


「起きたのね」


 聞き覚えのある声の方へ視線だけを動かすと、そこには吉水の姿があった。


「来ていたのか」


「ええ」


 彼女はなぜか私服を身にまとっていた。いつものイメージとはややかけ離れた雰囲気の藍色のワンピース。表情もどこかこわばったように見える。


「俺はどうしてここにいるんだ」


「……」


 大平下のさりげない質問に返事はない。しかし、沈黙こそがある種の回答だった。どうやら、彼は文化祭の最中にあの男を殴り飛ばしたらしい。


 実際の状況はよく分からない。けれども、利き手の甲を痛めていることや覚えている部分の記憶を照らし合わせると、必然的にそんな展開が思い浮かんでくる。


「奴を殴ったのか」


「そうね。でも私は仕方なかったと思うわ」


 吉水の肯定的な意見も、大平下の耳には届いていなかった。


 人を殴ってしまった。その自戒の念だけが彼の中でドロドロと燻り続けていた。


 改めて知らない天井を見つめる。溜息を吐いて目を閉じると、だんだんと当時の状況が思い出されてきた。それだけでなく、中学時代のトラウマも呼び覚まされる。なぜなら、大平下が殴った男は昔の同級生であったからだ。


いつも閲覧・ブクマ・いいね等々ありがとうございます。

山場なのに、全く思いつきませんでした。

次は大平下の過去編です。タイトルはエヴァのパロディーです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ