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58話:「一件落着?」

 大平下は吉水の本質を見誤ってはいなかった。しかし根本が少しだけ違っていた。吉水は何よりも一人が嫌だった。ただ、それ以上に蒲須坂にだけは嫌われたくなかった。


心当たりはいくつか存在した。


 例えば友人関係。吉水はクラスの副委員長を務めているにも関わらず、大平下の覚えている範囲で、彼女が親しくしていた人は蒲須坂しかいない。


「毎日親友からあなたの話を聞かされる身にもなってほしいわ」


「は?」


 どうして蒲須坂が自分の話なんかをするのか。大平下には全く理解できなかった。


「俺の話なんてする意味がないだろう」


「……」


 深い溜息が廊下を支配する。吉水は訝しい表情で二の句を継ごうとした。


「それは」


「待って」


 けれども、その声は外野の乱入によって掻き消される。重厚な扉によって閉ざされていたはずの保健室から少女が顔を出していた。正体は語るまでもなく、蒲須坂さくらだ。


「私は二人の喧嘩なんて見たくない。だから待って」


 彼女の登場は予想の範囲内だった。大平下は彼女がいつ現れるのか、その流れが変わるタイミングだけをずっと見極めていた。


「無理だよ。ここで話さないと私は正気を保てない」


「余計なこと言ったら絶交だから」


「……」


 想像通りに雰囲気は一変する。張本人にも関わらず、事態は大平下を置き去りにして解決へと向かっていった。


「黙ってさえいれば、私の一番の親友はリコだけだよ」


 要するにこれはただの茶番だ。吉水は蒲須坂の親友ポジションから外れることを恐れていただけで、言い換えれば、単に大平下に嫉妬をしていただけである。


「本当?」


「勿論」


 つまり、このわだかまりが解けさえすれば、彼女にとって大平下など一介のモブに過ぎなくなる。そして大平下にとってもそれ以上の関係性は望んでいなかった。


「……分かったわ。二人の関係も認めてあげる。ただ、私のことも忘れないでね」


「一秒たりとも忘れたことはないよ」

毎度閲覧・ブクマ・いいね等々ありがとうございます。

ようやく一段落致しました。もう少しだけ文化祭編は続きます。

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