51話:「保健室の邂逅」
そろそろ男子トイレの悪臭にも耐えかねてきた大平下は別棟一階にある保健室へと足を運ぶことにした。他に行くあてがないという訳でもない。だがまずは伝書鳩を担ってくれた氏家への義理を果たすべきだろうと彼は考えていた。
すぐさま行動を始めた大平下は、祭りの最中だというのに人っ子一人見当たらなかった廊下を移動する。歩く度に自分の足音が反響し、彼は噂話から逃げ出した四月を思い出さざるを得なかった。
やがて保健室の前に辿り着いた大平下は、掛けてあるボードから養護教諭がいないことを確認すると、素早くノックをしてスライド式の扉を開いた。
薬品の匂いが充満する部屋は、身体測定時に用いられる機械やパイプ椅子など見慣れたもので囲まれている。鍵の掛かった薬品ビンは、以前ここを訪れた時から減っているような気がしなかった。
「大平下君?」
そして、奥にある白いカーテンで仕切られたベッドの上からは、ここ最近親の声よりも聞いていたかもしれない声が聞こえてきた。
「おう」
中途半端に仕切りから顔を出していた吉水に、大平下は慣れない仕草で応対する。
「何その態度、ユーチューバーの真似ごとならセンスないからやめた方がいいよ」
「余計なお世話だ。自分のことなら誰よりも俺が把握している」
「そう…… で、用件は」
「氏家からの伝言を託った旨の報告だ。あいつわざわざ俺のことを探し回ってくれたみたいだからこれくらいはしてやらないと」
「探し回ってたってこの狭い校舎内を?」
「そう」
吉水はそれを聞いて笑いを堪えきれず吹き出す。
「あなたどこまで存在感がないのよ」
「そこ?」
大平下は思わず突っ込む。しかし、それは彼の墓穴を掘る一手となった。
「何かおかしい? ひょっとしてあなた見つかりようもないところに隠れていたの」
「……」
「黙ってても分からないのだけれど」
「氏家に聞いてくれ」
「そう、分かったわ。面白いこと期待しておくわ」
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遅くなってしまい誠に申し訳ございません。
まさかプ〇セカで遥ピックアップがやってくるとは……
少し前にモモジャンイベントあったから完全に石を貯めておらず暫く走ってました。
こっちもぼちぼち進めていきます。




