49話:「開幕」
トラブル塗れだった準備期間も終わりを告げ、ここまで必死に努力してきた山前高校生であれば、誰もが待ち詫びていた文化祭本番がやってきた。それを証明するかの如く天気は快晴。普段あまり人気のない正門には、簡素な紅白のアーチと共に長蛇の列ができていた。
「凄い人ね」
「みんな暇なんだな」
大平下は文化祭実行委員としてこの集団を捌く吉水の手伝いをするため、昇降口前で彼らの様子を伺っていた。そこからでは詳細な人数など分かりやしないが、ざっと見て五〇人はいる老若男女。特に他校の制服を着た学生は一際多いように見えた。
「暇なだけならいいのだけれど」
「そうだな、去年みたいになると面倒だ」
「去年……」
どこか含みのある大平下の反応に、吉水は何か言いかけて口を閉じる。しかし、彼らの間を取り巻く沈黙はそう長くは続かなかった。
「ただいまより、第二三回山前高校文化祭「あじさい祭」の一般入場を開始致します」
アナウンスが流れたかと思うと、先程まで列を作っていたお客様が一斉に校舎内へと移動し始める。それに合わせるように大平下たちは、事前に用意しておいたスリッパの利用を促すと共に、履いてきた靴をしまうためのビニール袋を配り始めた。
毎度閲覧・ブクマ・いいね等々ありがとうございます。とうとう49話です。
短いのですが、後々のために必要なシーン。これくらいならどこかに押し込んでも良いのかもしれない?




