39話:「正式発表」
「ということで、大平下君が劇のシナリオを仕上げることになりました」
朝礼の合間に挙手して発言権を得た吉水は開口一番に言った。周囲の期待を込めた眼差しが大平下の方へと自然に降り注ぐ。
「まだやるなんて発言した記憶はない」
「この場において否定する気?」
元より劇のアイデアなんて思いついていなかったクラスメイトたちは、すっかりその気でいた。賛成多数の雰囲気と比べたら、一票の反対意見なんて焼け石に水でしかない。
「少数派を弾圧する社会はロクなもんにならないぞ」
「マイノリティを尊重しすぎても、待っているのは規制社会よ」
大平下がため息交じりに呟いた皮肉もあっけなく返される。即座に二の句を継ごうとしたが、手を叩きながら、
「夫婦喧嘩はその辺にして、用事が済んだのなら朝礼を再開しますよ」
と話す担任宇都宮の茶々に邪魔された。外野の嬌声が鬱陶しく響き渡る中、赤面する二人は互いに顔を見合わせて沈黙する。
「――分かった。やるだけやってみるか」
「聞こえない」
「聞こえてるだろう」
「みんなに伝わるよう大声で」
「やるだけやってみる!」
「よろしい」
大平下は何となく半ば強引に丸め込まれた気がしていた。この場で発表したことさえ、彼女の策略でしかないのだろう。
こうなった以上尽くせるだけの手を施さなくてはならない。
「練習の時間も必要だから、脚本は二週間以内でお願いね」
なぜなら、人は一度要求を呑んでしまうと次から次へとハードルの高い事物が求められるものだから。
「勘弁してくれ……」
為せば成る。成らないものは気合でなんとかしろとでも言わんばかりの態度に、大平下は早速後悔していた。
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先日、一日の最高記録が出て少しにやついております。
さて、今回は繋ぎなのでやや短めです。
本番までが長いよぉ




