36話:「区切りと次に向かって」
結局国定には一ヶ月半程度の停学処置が下された。かなり寛大に見えるものの、彼は怪我を負わせただけでそれ以上のことを行っていない。そのため警察と学校に双方の保護者を交えて話し合いが行われた結果、お互い騒ぎを大きくしたくないという見解から、喧嘩という形で落ち着いたようだ。何でもその場においてこれまで行ってきた猿の悪事も判明したらしい。それに対して猿の両親が怒ったことで、このような情状酌量措置へと至ったとか。
「……という訳で、お二人は共に少しの期間お休み致します」
宇都宮が話を一度締める。現在は事件から数日経った朝の八時過ぎ。色々なことに区切りがついたようで、非日常の終焉を告げるホームルームが行われていた。
しかしあれだけの騒動が外部に漏れない筈もなく、生徒の誰かが流出させたとされているSNS動画をきっかけに、ここ最近は毎朝大勢のマスコミが姿を現しており、学校関係者はその対応に追われて疲労困憊だった。
「では、出席を確認致します」
よく見ると宇都宮の顔もくまが隠しきれていない。
彼らは正門を埋め尽くす大量の人だかりを捌くだけでなく、学校に寄せられる大量のクレーム電話。生徒へ無断で絡むインタビュアーを突き放す作業にも労力を割かれていた。昨日は保護者説明会も行われていた。それは想像以上に大きな負担となっているようで、事務員等には辞表を提出した人も存在していた。また一部教師も精神的不調を訴えて休職へと追い込まれたようだ。
「相変わらず空席が目立ちますね……」
しかし、休んでいるのは彼らだけではない。どのクラスも当事者ではない生徒の欠席が絶えなかった。皆がみんな負った心の傷をすぐに癒せる訳ではないのだろう。宇都宮はそう語っていた。
「何か質問等はございますか?」
「先生、多田羅君の怪我はどの程度なんですか?」
そんな中、休まず登校し続けた吉水が質問をする。彼女は事件後の二年二組では精神的支柱のような役割を担っていた。それまではクラスLINEから外されるなど紆余曲折あったものの、リーダーを二人失った状況では誰もが副委員長の肩書を持った彼女に頼らざるを得なかった。実際、最近はそれに見合った活躍をしていた。
「細かいことは私も存じてはおりません。けれども、特に後遺症もなく復帰できるみたいですよ」
「そうですか……ありがとうございます」
しかし、これからが問題である。次に迫るのは誰もが待ちわびたあの行事。今日の午後には、わざわざ授業を削ってそれにまつわる話し合いも行われる予定であった。
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次からはいよいよ5章、「文化祭編」開幕です
ここからがやりたかったことの詰め合わせ……
お楽しみに~?




