29話:「1学期中間試験」
休み明け早々にやってきたのは一学期中間テスト。俺は常日頃から国数英三科目の勉強だけはしっかりと積み重ねていたので、試験前日に遊び回ってもあまり問題のない学力を所持していた。
とはいえ油断は禁物。一学期中間は毎年範囲が狭いので、徹夜詰め込みの効果が発揮されやすい。普段は上位を取らないタイプの人間が結果を出すことも往々にしてあるため、必然的に平均点も高めになる。
「凡ミスに気を付けなくては……」
俺は朝からマーカーで彩られた英語の教科書とにらめっこをしていた。
山前高校は平均点の半分以下が赤点だ。レッドラインを下回ったものには地獄の追試&補修が待ち構えている。ちなみにこれは国数英にしか適応されないため、その辺が比較的得意な自分は経験したことがない (過去に物理の赤点を取った経験はあったが、主要科目ではないからとあっさり見逃された。おそらく教師も補修は面倒なのだろう)
「やるぞー!」
俺は気合を入れるため、脳裏で精一杯叫ぶと鐘の音が鳴り響いた。さながら試験開幕のゴング。かくして戦いの火ぶたは切って落とされる。
第一科目は先程まで復習していた英語コミュニケーション。要するにみんな嫌いな長文読解だ。けれども、校内限定でこの教科はテキストから引用した文章が点数の大半を占めているボーナスステージと化す。それでも取り落とす人は一定数存在していた。
「イージー、イージー!」
俺は教科書のマーカーで彩られていた部分をはっきりと思い出しながら、流れるようにシャープペンシルを動かして正しい答えを紙に記入する。スピード第一。とりあえず記憶を留めている内にある程度片づけておきたい。
「やめ! 鉛筆を置いて下さい」
悠久のように長い持ち時間がやっと終わった。若い男の教師 (一応担任)が一言テンプレを発したことで、達成感から少しだけ気が楽になる。後ろから回答済みのテスト用紙を前へ前へと手渡してくる試験特有のルーティーンを行うと、クラスメイトは全体で彼に挨拶し、休み時間へ突入した。皆一斉に散らばり、次科目までの少ない時間を有効活用しようとする。
そんな中、テストをまとめて教室の外へ移動しようとしている担任に対して、国定が熱心に声を掛けていた。珍しいこともあるものだ。成績優秀な彼が既に終えた教科の答えを気にするなんて。
「先生、小金井さんが来ていないようですけど、彼女はどうしたんですか?」
……違っていた。国定はそこまで愚かではない。
俺はその発言で小金井が欠席していることを把握する。テストを休むとは自己管理のなっていない奴。しかしそこには深い事情がありそうだった。
「小金井さんは、事情があって別室で試験を受けています……」
それは担任の口調からも何となく想像できた。そしてなにより、途端騒ぎ出す一部の生徒。猿を中心としたあざけるような下卑た笑いこそ、彼らが何か情報を持っていることの確たる証拠だろう。
新人教員には生徒を諫める力など勿論なく、違和感から確認しに来たベテランが一喝するまで、この騒ぎは継続した。
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