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仮題『かさぶたは次なる怪我の下準備』  作者: 中之島 零築
4章:人間関係は複雑怪奇
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27話:「番外編②(蒲須坂のGW)」

「はぁ、最高~」


 私はスマホを枕元に放り投げ、思わず歓喜の声を上げた。唯一の趣味である漫画鑑賞は年々興味深い物へと進化を遂げている。


 とりわけ昨今急速に普及している電子書籍は物凄い。あれは間違いなく読書の難易度を大幅に低下させただろう。小説やら教科書は別だが、漫画に関して言えば、電子は紙本の弱点を確実に克服しているように思える。


「タイトルだけじゃ分からないものね」


 色々なメリットがあるものの、まず優れている点は無料で読める機能だ。勿論、一部作品や部分限定、期間限定と様々な工夫がこなされている。これらは、表紙だけで買う買わないの定義をして、自身の許容範囲を狭めていた私にとっては革命だった。


そしてなにより、その究極が店に行く必要がないということだと私は思っている。男性向けに分かりやすく胸の大きいヒロインを表紙にしている作品なんかは、私のような身分では店頭購入しにくい。おまけに、それを見られる可能性を考慮すると、易々と知り合いを自宅に招くことまでも憚れた。


「ま、呼べる友達なんて限られているんだけど……」


 脳裏に二人の顔が浮かび上がる。吉水と大平下。寂しい交友関係だ。前国定グループの面子はあの日を境に吉水以外交流を取っていない。


ハッとした時には漫画の余韻は既に醒め、中間テストの勉強をしなければならないことを思い出した。結果的に学校の話題は現実に引き戻されるトリガーとなってしまった。


「……」


 カタカタと机上の鉛筆を走らせることおよそ一時間。私の集中力はちょっとしたことがきっかけであっさりと瓦解した。いや、正しくは最初から切れていた状態であることを改めて認識した。


「騒がしい……」


 こんな田舎に鳴り響くサイレン。微妙な違いからそれがパトカーのものだと理解する。


「何やったんだろう」


 勉強なんか手に付かず、私は聞き耳を立てて音の出所を探った。けれども、そう簡単に分かるものではない。おおよその方角から簡単に当たりを付ける。


「あの辺りなら旧商店街もありえる?」


 旧商店街。今はもう寂れてしまって不良の住処と化してしまった場所がこの街にはあった。それはまだここら一帯が栄えていた時代の名残で、私たちは幼少期から近づくことさえ禁止されている。そこなら充分にあり得る話だ。


「何だ、つまんないなぁ」


 勝手に答えを見出してそれが想像の範疇を超えることがなかったため、私は一瞬で興味が冷め切って天井を見上げる。無意識にだらしない口が開いた。



「もう寝ようか……」


 時計を見たら夜十一時。機械的に数字が描かれただけのデジタルは、能力的にはアナログよりもはるかに分かりやすいものの、カチカチという独特な秒針を刻む音が鳴らないため、意識して時間を確認しないといけない。


 GW四日目。結局私は貴重な休みにも関わらず、ダラダラと漫画を読んでいるだけで時を消費してしまった。これでいいのだろうか。そんな後悔は毎晩のようにしている気がする。


閲覧・ブクマ・いいね等いつもありがとうございます。励みになってます。

ということで、今回は蒲須坂のGWでした。日付的にはGWの中頃を想定しています。

最後は吉水のGWです。次回で番外編は終了します。中間テストからいよいよ本編再会です。


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