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仮題『かさぶたは次なる怪我の下準備』  作者: 中之島 零築
4章:人間関係は複雑怪奇
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24話:「勢力一変」

猿は何が起こったかよく分からないという様子をしていた。彼の正面に映るは激情の炎に燃える国定の顔。瞬間集まる野次馬の自身を憐れむような視線。取り敢えず、大真面目な状況であることは、頭の悪い彼にも読み解けるようだ。ここにおいて、彼はいつもみたいに「おいおい、やめろよ~」なんて冗談を言いはしない。その代わり、聞いたことのない低い声で、


「てめえこそ……」


 と吐き捨てるように唸りを上げる。その態度に、国定は躊躇なく右の拳を振りかざした。左手はがっちりと相手を押さえている。


「やれるもんならやってみろ」


 僅かに動揺した猿だったが、それも一瞬でしかない。彼は冷静さを取り戻すと、その後は一貫して、強気な態度を崩さなかった。


――まるでこの先の未来が見えているかのように。


 果たして握りしめられた右手はゆっくりと教室の床へ下ろされる。猿はそれを見てにやりと笑った。余裕を含んだ勝者の表情は、この時を以て下克上達成を証明している。


「根性なしが!」


 がなり立てた声を皮切りに、猿と仲の良いクラスメイト数人が一斉に国定を取り囲んで煽り出した。


 敗者に情けなどなかった。


 誰もがこの状況を見届けたことで、猿と関わりを持つことを恐れ始めていた。


 蒲須坂は泣きそうな顔をしている。吉水は現実を直視したくないのか、あからさまに視線を逸らしている。他の前国定グループメンバーは何もできていない。


 一方、姦し組は、早速猿に媚び売りを始めていた。


国定に助けられた人は大勢いるはずなのに、結果的に皆は彼をあっさりと見捨てた。


「哀れだな……」


 俺はその様子を傍観しながらただ呟いた。そういえば、前にもこんなことがあったなとかいう雑念を思い浮かべながら。


 稚拙で低俗な、今時小学生でも使わない貧弱なボキャブラリーに晒された様は、彼がクラスの頂点から陥落したことの惨めさをより強調している。


 結局、チャイムという名の決着のゴングが鳴り響くまで、この光景はしばらく続いた。


 やがて移動教室の五時間目が始まり、国定だけが教室に取り残されていく。



毎度、閲覧・ブクマ・いいね等ありがとうございます。励みになります。

さてさて、いよいよ動いてきました。ここからは更に壊して参ります!

アクセル全開、目指せ毎日投稿 (できてない)

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