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ほこりのない屋根裏 [約2,500字ver]

小説家になろうラジオ(第214回 2022.11.4OA)の

「タイトルは面白そう」というコーナーでタイトルとあらすじを読んで戴きました。

「書いてください」を戴いたので、短めですが書きました。

テーマは「屋根裏」


ラジオはYouTubeにて聴けますので番組名でご検索ください。

 世の中には掃除をしていないのにほこり一つない屋根裏があるらしい。

 そんな都市伝説を調査する為、怪奇研究部は本日も活動する。

「部ちょー、あーし、駅前の新しいお店に行きたいんすけどー」

 とは言っているが、金髪で盛り髪の後輩ちゃんは、ミニスカ巫女服に着替えて準備万端だった。

「我慢したまえ。これまでの完璧な作戦ですら、かたくなに家へ入らせようとしなかったのだ。絶対、何か隠しているに違いない!」

 メガネ部長は、陰陽師まがいの格好で息巻いた。

「部員3号の情報によると、マダムは何かを盲信する信者のように、宗教だか霊感だかにハマっているらしい。この作戦ならきっといける! さあ、後輩ちゃん、呼び鈴を鳴らすのだ!」


 ピンポーン!


 少しして、上品な服装の厚化粧のマダムが中から出てきた。

「どちら様ザマス?」

「マダム、この家は悪霊に狙われていて危険です。すぐにでも除霊を!」

「悪霊が激エモで、ちょーヤババっな感じっすよー」

「おかしな格好で、やぶからスティックになんザマス? ところであなた方、昨日の爆弾処理班と似てる気がするザマス」

「き、気のせいです……。それより、このままでは悪霊が暴れて、危険が危ないです!」

「本当に気のせいザマスか? そういえば、一昨日の蜂の巣駆除業者にも似てる気が……」

「ぎゃあああああああっす!」

 マダムの言葉をさえぎる様に、後輩ちゃんは声を張り上げた。

「び、びっくりしたザマス。どうしたんザマス?」

「悪霊がぁああ! あーしの体に取り憑こうとしてるっすー」

「な、なんだってぇええ!? こ、このままでは、伝説の悪霊が目覚めて大変な事にぃいい!」

「もー、なんザマス!? あなた方は何者ザマス? 何がしたいんザマス!?」

「我々は通りすがりのゴーストバスターです! マダムを危険な悪霊から守る為に来ました……キランッ!」

 部長はメガネを光らせ、大げさなポーズで大見得を切った。

「訳わからないザマス。幽霊なんて信じないザマス。お帰り願うザマス」

 これは大ピーーンチ!!

 宗教は信じても、幽霊は信じてなかったのかぁああ!?

 どうする怪奇研究部!?

 愛と勇気と叡智えいちで、この窮地を切り抜けろぉおお!!


 その時ーー後輩ちゃんのスマホにメッセージが入った。


「部ちょー! 3号からのメッセに、超ヤババな宝物をマダムが隠し持ってるらしいって書いてあるっす」

「なるほど! もしその宝物が、悪霊に狙われるとなれば……」

 聞かれないよう、二人は小声で打ち合わせた。

「急にコソコソしてなんザマス? 感じ悪いザマスよ」

「マダム!」

「な、なんザマス!?」

 部長はマダムに迫り、これまでに無いほど真剣な眼差しを向けた。

「マダムの宝物を悪霊が狙っています!」

「宝物……まさか、屋根裏のあれザマス!?」

 やはり、屋根裏には何かある。

 確信した二人はアイコンタクトを交わした。

「あーしに取り憑こうとしてた悪霊が離れていったっすー」

「なんだってぇええ!? もしや屋根裏へ行ったのかぁああ!?」

「あー、このままだとお宝はメチャメチャにされるっすー」

「強力な悪霊だ。あらゆる物を木っ端微塵にしてしまうぞー」

 ここぞとばかりに二人はマダムへ詰め寄り、不安をあおるように畳みかけた。

「ゆ、幽霊なんているわけないザマス。でもなんだか不安になってきたザマス」

「除霊の為、家に入ります。良いですね!?」

 マダムは腰が砕けたようにへたりこんだ。

 完全に信じてはいないが、もしかしたらという葛藤がマダムを縛った。

「では行くぞ」

「チョリーっす」

 二人は無遠慮ぶえんりょに上がり込んだ。どたどたと階段へ向かう。

 得体の知れぬ二人が目の前からいなくなり、少し平静へいせいを取り戻したマダムは我に返った。そして、すぐに二人を追いかける。

「ぎゃー! やっぱり駄目ザマス! 特に寝室の本棚の奥にあるスイッチは、絶対に押したら駄目ザマスー!」

「よし本棚だ、後輩ちゃん!」

「Bダッシュで行くっすよー」

 二人はベッドのある部屋で本棚を見つけた。

 中の本を投げ散らかしてボタンを探す。

「見つけたっす、スイッチオンっす」

 天井の一部が開き、階段が自動で伸びてきた。

「後輩ちゃん、でかした!」

 階段が伸びきったところで、屋根裏に上がった。

 フローリングが敷いてあって、部屋として造られているようだった。

 しかし、薄暗くて奥の方はよく見えない。

 部長は指で床をなぞってみる。

「埃がない! 見つけた! ついに見つけたぞぉおお!」

 ついに噂の都市伝説を発見したと大いに喜んだ。

「待つザマス」

 遅れて来たマダムは暗がりの中、迷いなくスイッチを見つけて押すと、奥の方でド派手な電飾が光った。それは祭壇の様な場所にたてまつるように飾られた、アイドルグッズを魅せる為の演出の光だった。

「ピロンヌ様には指一本触れさせないザマス!」

 マダムは一目散いちもくさんにグッズのもとへ行き、大手を広げて立ち塞がった。

「ハマってたのはピロンヌ様だったんすか。どうやら信者違いだったみたいっす。まあ、ある意味、宗教みたいなもんすかねー」

「つまり、ピロンヌ様をあがめるために、日頃からここへ立ち入ってたわけか」

 怪奇の欠片も感じさせない状況に、二人は肩を落とした。

「ところでマダム。ここの掃除は?」

「当然、毎日してるザマス。ピロンヌ様に埃一つ付けられないザマス! 分かったら除霊でもなんでも済ませて、さっさと帰るザマス!」

 しかし二人はどうでもよくなっていた。

 除霊もピロンヌ様にも興味はない。

「すまん、後輩ちゃん頼む」

「りょ!」

 後輩ちゃんはおもむろに赤いシールを、グッズ達に貼っていった。

「ありがたい御札を貼ったので除霊完了っす。じゃあ、あーしは新しいお店に寄って帰るっすねー」

「ぎゃー! 半額ってなんザマスかー! キレイに剥がせなくて白いのが残るザマスー! スーパーの半額商品はありがたいザマスけど、これは迷惑ザマスぅうう!」

 泣き崩れるマダムを、二人は見向きもしなかった。

 もはや1ミリも関心が残っていない。

「あ、後輩ちゃん、俺も一緒に行っていいかな?」

「んー、彼ピーと行くのでムリっすー」

「え、嘘!? 彼氏いたの?」

「実は3号と付き合ってるっす」

「マ?」

 怪奇研究部の活動はこれからも続くのだろう。

 部長が立ち直れば、きっと。


 めげるな部長! 頑張れ部長!

 世の中の奇怪な事件が君を待っている……かも?

部長が後輩ちゃんが好きという設定はこのボリュームだから入れました。

1000文字バージョンも挑戦するつもりですが、部員3号と一緒にこのくだりは消えると思います。

1000文字に収まるかな?


ちなみに部員3号は見た目は陰キャで、ITインテリですが、メガネを取ると実はイケメン。

恥ずかしいセリフも恥ずかしげなく言えちゃいます。

後輩ちゃんの方が3号にLOVEです。

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