捜査と賭博と激突――3
その後も俺は連勝し、テーブルにはチップの山ができていた。
異様なまでの運の持ち主と思い込んだのか、プレイヤーたちは俺の予想に乗っかり、全員が大儲けしている。
ゲームのたびにプレイヤーたちは歓喜の叫びを上げ、敗れ続けているディーラーだけは脂汗まみれの顔をしていた。
「お客様」
そんななか、上等な衣服を身につけた小太りの男がやってきて、俺に声をかけた。
「なにか?」
「お客様ほど豪運の持ち主には出会ったことがありません。今後も我がカジノをひいきしていただきたく、VIPとして扱わせていただけないでしょうか?」
「それは嬉しい提案だな」
「そうおっしゃっていただけて光栄です。つきましては、ゴールドラッシュが誇るスイートルームにご宿泊していってください」
「連れもいるのだが構わぬか?」
「ええ、もちろんでございます」
おそらくは支配人だろうその男が、俺にホテルの鍵を手渡してくる。
ついにきたか。
「ありがたく頂戴しよう」
俺が鍵を受け取ると、男は貼り付けたような笑みを浮かべてから去っていった。
俺はセシリアとエミィに目配せをする。
ゴクリと喉を鳴らしつつ、ふたりが頷いた。相当緊張しているようだ。
ふたりが緊張するのも無理はない。スイートルームに誘われたということは、カジノ側が、俺たちを殺害すると決めたことを意味するのだから。
賭博は前座に過ぎぬ。ここからが本当の勝負だ。
渡された鍵を握り、俺は気を引き締めた。




