新たな出会いと彼女の変化――11
その後も手合わせは続いた。
「視野が狭い。一点に集中するのではなく、周辺視野で全体を眺めるのだ」
「柄は絞るように握る。握りが甘いと打ち払われるぞ」
「剣は全身で振るうものだ。腕の振りだけでなく、脚の踏み込みや腰の捻りにも意識をやるといい」
手合わせのたび、俺は生徒ひとりひとりにアドバイスを送っていく。
ひとりの男子生徒が呟いた。
「このひと、俺たちの想像以上にスゴいんじゃないか?」
彼の呟きに、クラスメイトたちが頷く。
そんなクラスメイトたちの様子に、セシリアが「むっふーっ!」と誇らしげに胸を張った。師匠である俺が褒められて嬉しいのだろう。なんとも健気な弟子だ。
セシリアの微笑ましさに癒やされつつ、俺は目の前の女子生徒に助言する。
「きみは姿勢を改めるべきだな」
「剣と姿勢に関係があるんですか?」
「論より証拠。実際に体感してみるといい」
「失礼」と、女子生徒の背に触れる。
彼女の背に触れた瞬間、ニコニコしていたセシリアが、ピキッと固まった。
「猫背では能力を発揮しきれない。背筋を伸ばすのは基本だ」
「は、はい」
「重心が高すぎてもいけない。少し膝を曲げよう」
続いて俺は、重心を下ろさせるため、女子生徒の両肩に手を置く。
セシリアの笑顔が強張った。
女子生徒の肩を上から押して、膝を軽く曲げさせる。
俺は「よし」と頷いた。
「その姿勢を維持したまま重心を意識する。重心の位置は骨盤の上。そこに球体があると想像するのだ」
イメージを促進するためか、女子生徒がまぶたを伏せる。
「……できました」
「では、先ほどと同じように踏み込んでみよう」
「はい!」
女子生徒がまぶたを上げ、一歩を踏むと同時に魔剣を振るう。
鋭く、速く、力強い。
風を切る音がした。
女子生徒が目を見開く。
「動きやすさがぜんぜん違う!」
「重心が安定したためだ。正しい姿勢とは、重心が安定する姿勢のこと。もっとも動かしにくい部分である重心が安定すれば、動きやすさは段違いになる」
「こんなに変わるなんて……ありがとうございます!」
女子生徒が人懐っこい笑顔を浮かべ、ペコリと頭を下げた。
目を細め、俺も礼を返す。
「むぅ……!」
そんな俺たちを眺め、セシリアが頬を膨らませていた。
はて? どうしたのだろうか?




