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新たな出会いと彼女の変化――9

「今日から魔剣士クラスで講師を務めることになったイサムだ。よろしく頼む」


 エリュのもとを訪ねてから一週間後、俺が教鞭(きょうべん)を振るう初の授業が開かれた。


 ホークヴァン魔導学校のグラウンドに並んだ生徒たちに、俺は頭を下げる。生徒たちは「「「「よろしくお願いします」」」」と礼を返した。礼儀(れいぎ)正しくて好感を持てる。


 今回の授業は2―Sクラスを対象に行うのものであるため、生徒たちのなかにはセシリアの姿もあった。


「あのひとだよね? ケニー先輩たちと模擬戦をしたのって」

「ああ。セシリアさんとペア組んでたよな」

「魔法を打ち消したり、メチャクチャ速く走ったりしてたけど……何者なんだろう?」


 何名かの生徒がポソポソと囁き合っている。ケニーとの模擬戦について聞いた者や、実際に観戦した者がいるようだ。


 模擬戦の内容が衝撃的だったためか、俺に向けられるのは好奇(こうき)の目だった。


 生徒たちの視線を浴びながら、俺は告げる。


「はじめに言っておくが、俺は魔導兵装を扱えない。魔導兵装について、きみたちに教えられることはない」


 生徒たちがざわめいた。


 戸惑うのも当然だろう。ここは魔導学校。魔導兵装について学ぶ場所なのだから。


 ざわめきが広がるなか、ひとりの女子生徒が手を挙げた。


「では、先生はどのようなことを教えてくれるんですか?」


 俺は手にしていた木刀を構えながら答える。


「剣だ」


 途端(とたん)、ざわめいていた生徒たちが静まり返った。生徒たちの表情は緊張を帯びており、ゴクリ、と唾をのむ者もいる。


 生徒たちの反応に、俺は満足を得た。


 Sクラスというだけはあるな。目が(やしな)われている。


 彼ら、彼女らは、俺の構えを見て悟ったのだ。このひとはタダ者ではない、と。


 好奇の目が、ひとつ残らず真剣なものになる。


 実にいい。構えから相手の腕前を察するには、自身も相当な力量を持っていなければならないからな。


 心地いい緊張感が漂うなか、俺は口端を上げた。


「きみたちの実力を量りたい。最初の授業は俺との手合わせだ」

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