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紅桜歌~獣人の歌と千年の巫女~  作者: 81 MONSTER
第1章《死を率いし者》
8/12

第8節【飛竜隊】


 飛竜と闘うには、動きを止めさせる必要がある。


 竜族の中では比較(ひかく)的に、下位に位置づけされる種族ではあるのだが、それでも人間の手にはあまる存在であった。


 高い知能を有しており、空中を縦横無尽(じゅうおうむじん)に飛翔する敏捷(びんしょう)性がある。地を()うことしか出来ない生物には、飛竜を(とら)えることは艱難(かんなん)を極めていた。


 それを可能にするには、その性質を()らなければならない。



 ダイナー帝国が有する飛竜隊は、飛竜の生態を()り尽くしている。何処(どこ)に生息して、どういった獲物を狩るのかも、習性も全て理解している。

 野生の飛竜を(とら)えることは、彼らにも難しい。だが卵を奪うことは、そう難しくはない。故に卵から(かえ)った飛竜に、己が親だと()り込むことが可能なのだ。



 幼竜の段階で飛竜は、空を飛ぶための『風』を手に入れる。飛竜が空を飛ぶ原理は、翼による浮力だけではない。独自の魔力コントロールによって、風を操っているのだ。その能力は生後、すぐに発現する。



 飛竜種は大別すると、三種類の属性に分類することができる。



 光属性を持った特殊な飛竜。

 これは飛竜種で唯一、上位種の竜族に分別されている。



 聖地アリアドスに近接するようにして(そび)える霊山レディントン。

 その頂上にのみ生息しているため、容易(ようい)に人が足を運ぶことすら儘為(ままな)らない。彼らは非常に強い魔力と、言葉を介するほどの知能をあわせ持っている。



 風属性の飛竜が一般的に()られているが、その生息地は(まば)らでダイナー帝国ではあまり目撃されていない。


 飛竜隊が主に騎乗する飛竜は、火属性である。

 ダイナー帝国周辺の魔力は、高濃度な火属性の魔力を帯びている。火山帯の付近に群棲(ぐんせい)しているせいか、火属性の魔力を多く取り込んでいるのだ。


 機動力は光、風、火の順で飛竜種の中では比較的に鈍重(どんじゅう)な種ではあるが、それは飛竜種のなかでのことである。

 人が相手どるには、充分に素早(すばや)かった。



「各員、飛行しながら敵を殲滅(せんめつ)しなさいッ!!」



 エアリゼの号令を受けるまでもなく、彼らは飛行態勢に入っている。

 無数に飛び交う飛竜の上で、飛竜隊の面々が詠唱陣(えいしょうじん)錬成(れんせい)し始めていた。ある飛竜は敵兵に目掛けて急降下をして、騎乗する兵がそれに合わせて槍による刺突(しとつ)を放っている。()れ違いざまに敵兵が血飛沫(ちしぶき)を上げて、後方に吹き飛んでいた。



 飛びながら火を吐く飛竜もいた。業火に包まれて、全身が炎上する敵兵。

 生きたまま、焼かれているにも関わらずに悲鳴の一つも上がらない不気味さがあった。


 敵兵の全てが、感情や痛覚といった人間らしさが欠落しているようである。



 戦況は一方的であった。


 詠唱陣の完成と共に、飛竜隊の魔術が次々に敵兵を(ほふ)っていく。ダイナー帝国が誇る飛竜隊の力は、敵兵の反撃を(ゆる)さなかった。

 圧倒的に有利な戦局を見て、エアリゼは静かに離脱(りだつ)していく。敵の数は多かったが、問題はないように思えた。実際にエアリゼが抜けて(しばら)くしても、飛竜隊の勢いは止まらない。



 飛竜隊の大勝は確実かと思われたが、不意に戦局が(かたむ)く事となる。


 グラナス王が現れたのだ。(うろ)(まなこ)には、絶望的な闇を(たた)えている。

 周辺を包む魔力には、異常な狂気が宿っていた。



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