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-第92話-

明日はーー日曜日。


学校に登校する日ではないのだからいつものカフェなんかで安芸さんに勉強の教えを乞うことはできない。


しかし明日は日曜日であると同時にテスト前日であるため、明日教えてもらえないというのは俺のテストがうまくいかないことに直結してくるだろう。


でも安芸さんにとってもテスト前日。


学年一位の勉強をそんな大事な日まで邪魔してしまっては申し訳ない。


だから俺のとる行動は一つだ。俺のせいで学年一位から転落して不幸だなんて感じてしまった時は終わりだしな。


『明日はいつもみたいに、わからないところがあったらRINEで聞くってことでいいか?』


『う、うん。私は全然それで良いけど、山口くんは大丈夫なの?』


『ああ、数学は一応終わったし、英語も調べながらやればなんとかなるだろ。最悪結奈に教えてもらうし』


『はは、お兄ちゃんとしての尊厳なんて一ミリもないね』


まあそれは最終手段だけど。


『わかった、じゃあ困ったらすぐに連絡してね。おやすみ』


間髪入れずにそうメッセージが送られてきた。俺の勉強はここからだというのに、もう寝るというのだろうか。俺に教えて勉強時間を取れていない割には随分余裕なんだな。


『ああ、おやすみ』


俺はそう返信したと同時にベットにスマートフォンを投げつけ、雑念が入らないように集中して勉強を再開した。


※※ ※※


テスト前日の日曜日も何点か安芸さんに聞いたけれど滞りなく経過し、テスト期間の4日間も姫芽さんの『死にそう』という顔を見物しに行った結果怒られたりとハプニングはあったものの手応えは今までにないほどのもので終了した。


そして三日間の採点期間を挟んで、待ち遠しいようで自分の努力量が測られてしまうため来て欲しくもない答案返却日がやってきた。


「よし、それでは各教科の答案を返して行こうと思う」


昨日までテスト直後のリラックス期間だったためか教室内は気だるけな雰囲気であったが、担任のその一言によってみんな緊張感を纏い始めた。


うちの学校ではテスト答案の返却と同時に総合学年順位と各教科の分布図が配られる。


分布図というのは十点刻みに区分けされていて、各区分に何人いるのかが記入されており大体の山場と自分の立ち位置がわかるというものだ。


「じゃあ、返却していくぞ」


先生の掛け声に合わせて何人かの生徒が立ち上がる。おそらく出席番号が若い人たちだろう。


俺は「や」なのでこの後しばらく席に座っていられる。出席番号の遅い人の唯一の特権だろう。


「はい森田」


ぼーっとしていたらもう二人前まで呼ばれていた。


俺は急いで席から立ち上がり教壇に向けて早々と歩き始めた。


最近は安芸さんの影響もあって暇があったら勉強していたので、何も考えず放心状態になる時間が少なかったからな。


元からそういう時間が多かった人は無理に少なくしてもどこかで皺寄せが行くのは当然だろう。


でも明日からはテストから解放されたわけだしまた前のような生活に戻れるからそんな心配は必要ないわけだが。


「次、山口」


「はい」


「お前、どうしたんだ?カンニングか?」


普通呼ばれたらそのまま自分の答案を受け取って終了なはずなのに、声をかけられた。


それに合わせて周りの何人かの視線が俺に集まるが、俺が何も受け答えをしないとまたそれまで話していた級友のもとへと戻っていった。

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