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-第89話-

「いやー、やっぱお兄ちゃんが勉強してるって珍しいね」


結奈が戻ってきてから三十分ほど、俺の家にみんなが来てから一時間弱が経過した頃、結奈もみんながいるのに黙りこくって勉強という現状に嫌気がさしたのか声を上げた。


俺もまだ集中してテキストを進めているのに、俺より成績のいい結奈は集中力が切れたとかではないだろう。


「結奈は珍しく勉強してる俺の邪魔しかしてないけどな」


「人聞き悪いよ」


「実際そうだろ?」


さっきの梨花さんとの一件は置いといても、結奈は自身のいう通り珍しく勉強している俺を妨げている悪役にしか見えないだろう。


「えー、なんかごめん、お兄ちゃん」


結奈は自分の責任だと気が付いたのか、少し申し訳なさそうに俯いた。


別にそこまで責めるつもりじゃなかったんだけどな……。


でもそういう聞き分けのいいところも結奈のいいところの一つだと俺は思う。


「そういえば姫芽さん!」


結奈ふと何かを思い出したかのように声を入り上げた。


こういう立ち直りの早いところも良いところなのかもな。


「どうしたの?結奈ちゃん」


「あの時渡したお兄ちゃんの連絡先なんかに使いました?」


ん?連絡先?


「うん、ちゃんと使わせてもらったよ。ありがとね。でもあんまそれを本人の前で言わないで欲しかったな……」


姫芽さんは結奈にそう返事をしながら、俺の方をさっきからチラチラと横目で見てきている。


ああ、思い出した。あの件の犯人は結奈だったのか。


それは遡ること1週間ほど前ーー姫芽さんが学校で俺にアイリさんたちの曲を聞いてるのがバレ、ライブに行く約束をした日の放課後のことだ。


別に大したことではないのだけど、連絡先を交換した覚えのない姫芽さんからいきなりRINEがきたのだ。


その時はメッセージの内容の方が大事だったし、その後も安芸さんに転送したりして忙しかったからすっかり記憶から抜け落ちていたが、確かに姫芽さんへ連絡先を俺に無断で渡した犯人は探す必要があった。まさか自分から名乗り出てくれるなんてな……。


「おい結……」


「そういえば梨花さんってお兄ちゃんの連絡先持ってないですよね?」


自分の罪から逃れたいのか俺の言葉に被せるように、結奈は梨花さんに問いかけた。


その質問はまずい……。


俺と梨花さんは以前公園に行って二人きりになったタイミングで連絡先を交換しているのだが、まだ誰にもそのことを報告していなかったのが現状だ。


何より誰も俺のRINEを誰が持っているのかなんて情報興味ないだろうし、梨花さんも行って欲しくなさそうにしていたからだ。


しかし交換していることがバレると梨花さんと実は仲がいいってことが二人にバレるだけならまだいいのだが、「梨花には渡しているのに姫芽にはくれなかったの?もしかして山口くん梨花のこと好きなの?」なんて疑念をRINE交換を自発的にしていなかっった姫芽に抱かせてしまうかもしれないし、何より梨花さんの不安や秘密が二人にばれてしまうリスクがある。


俺のRINEなんかのせいでそれらがばれてしまった場合申し訳なさすぎるため、できれば避けたい。


俺は交換したと堂々と言った場合の言い訳と、交換してないと嘘をつくかの選択を考えながら、どちらを選ぶんだという視線を梨花さんに向けてみた。


しかし彼女も俺同様目を泳がせ、しどろもどろになっていた。


どうしたものか……。

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