-第83話-予想出来た乱入
「ここが山口くんの部屋かー」
「意外と片付いていますね」
「だから安芸さんたちが来る前に片付けたって言っただろ」
「逆に言うと何もないですね」
梨花さんの少し辛辣な言葉の通り趣味もない俺の部屋は最近よく使う勉強机以外何もないと言っても過言ではない。
「ぎゃ、逆に勉強に集中できるというか……」
「勉強してない人がよく言いますね」
今日は梨花さんの言葉が妙に鋭い気がする。
実際俺以外全員学年一桁順位常連なわけだし、俺が勉強量が足りていないというのは事実なわけだが。
「あ、安芸さん。来てたんですね」
立話を続けていてそろそろ座るように促そうかと考えていたとき、突如俺の部屋のドアがガラリと空き、結奈が入ってきた。
「結奈ちゃん、やっほー」
安芸さんが数歩結奈の方に歩みより、結奈の頭を撫でた。
「なんで、結奈来たんだよ」
「えーだって、お母さんが可愛い女の子が来たって言うから、もしかしたら安芸さんのことかなって思って。お兄ちゃんの友達なんて安芸さんたち以外いないし」
なんとも失礼な妹である。まあ、事実なわけだから、尚のこと悔しいのだが。
「安芸さん、この間買ったゲームあるので一緒にやりませんか?」
「えー、いいね!結奈ちゃんやろうか」
結奈の手には某レースゲームのソフトケースが握られていた。
このゲームはパーティー要素も強くみんなでやるには向いている。
安芸さんも乗り気だし、俺も正直みんなでやるのは楽しそうだからやりたいのだが、邪魔の入らないという前提で集中して勉強を教えてもらうために試験前で忙しい安芸さんを家に招いたので、ここで結奈の誘いに乗ってしまったら安芸さんに申し訳ない。
それにこのゲーム最大4人プレイだからこの中で1人確定でハブられるというのもいただけない。
梨花さんとかは真っ先に遠慮しそうだからだ。
「俺は遊びで安芸さんたちを誘ったわけじゃないんだから、邪魔しないでくれよ」
「えー、ちょっとくらいいじゃん」
「だめだ。安芸さんは学年一位で勉強もいそがいいのに、俺に教えるために来てくれてるんだよ」
「え?安芸さん学年一位なんですか?すごい!」
結奈がまた新しい安芸さんのポテンシャルが高いところを発見して驚きながらも誇らしそうに声をあげた。
「ま、まあね。たまたまだけどね」
「入学以来一回もその座を崩していないのにああ卑屈になると流石に無理がありますよね」
ちょっと恥ずかしそうに謙遜する安芸さんに対し、梨花さんは主人に聞こえないように小声で俺に呟いてきた。
「そっか。お兄ちゃんに勉強教えてる時間が一番無駄だと思うけど、邪魔しないでおくよ」
納得したのか結奈は俺のベットに腰を下ろした。
「なんでまだいるんだよ」
「えーだって、せっかく安芸さんが家にいるのに私だけ下で1人で勉強って悲しくない?いいですよね、安芸さん」
「ええ、大丈夫だよ。ただ山口くんだって頑張ってるんだから、無駄だなんて言わないでね」
「え、すいません。でもよかったです」
安芸さんは結奈の言葉が癪に触るところがあったのか、了承次いでにそう付け加えた。
「じゃあ、山口くん、勉強を始めよっか」
「わかった。これ広げるから少し待ってな」
俺は何もない部屋でも4人で同じ机を囲めるように予め用意しておいていた丸机を広げた。




