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-第73話-過去②

「なあ、優斗。お前も春樹の気持ち知ってたんだろ。じゃあなんでこんなことしたんだよ」


俺は声に若干怒りを込めながらただボーッと春樹が立ち去るところを見ていた優斗に言った。


「さっき言った通りだよ。更に加えるとすれば俺も佳奈のことは好きだったからな。だってあいつ可愛いしな。でも春樹が先にその話をしちゃったから、俺に対抗する勇気なんてないから結局言わなかっただけだ」


「それが友情を壊すことになってもか?」


「それは俺も考えてはいたけど、そういうのも含めて笑って流せるのが友達だと思っていたよ。少なくとも俺は春樹が結ばれたなら悔しいだろうけど祝うつもりだったし。二度と関わるなと言われたわけだし、その言葉に乗ってもう俺はあいつとは関わんねえよ」


優斗は吐き捨てるように言った。


彼の一言一言にはトゲが刺さっているように感じられ、春樹のことをこの一瞬で嫌悪しているということも伝わってきた。


「はあ、じゃあ俺も帰るわ。今お前といてもお前まで友達じゃなくなっちゃいそうだからな」


優斗はそう言い残し傍に止めてあった自転車に跨ってどこかへ言ってしまった。


おそろくは言葉通り家に帰ったのだろう。


ただ、夏休みのある日いつものように仲のいい友達と朝から遊んでいただけなのに、俺は何もしていないのに、大切な友達を2人も失ってしまった。


正確にはもう3人ではいられなくなってしまったか......。


翌日――俺は春樹の家の前に来ていた。


俺は3人でバカ騒ぎしたり、お互いに目標のために励んでいたその日常が大好きだった。


それが夏休みという非日常に壊されるなんてたまったものじゃない。


俺はまた3人で遊べるようになる未来を取り戻すために、春樹と優斗が仲直りするという百万分の一か、一千万分の一か分からないようなそんな一縷の望みにかけてみることした。


俺は妹の結奈をいじめられている時に手を差し伸べたことがある。その時の結奈はいじめられているという現実に反してとても嬉しそうなものだった。


だからせめて仲直りが無理でも春樹が落ち込まないようにと、まず春樹の家から立ち寄っているのだ。


「春樹くんはいますか?」


俺はインターホンを押し中にいるであろう春樹のお母さんにそう呼びかけた。


「どうしたんだ、親鸞」


声をしたドアの方を向いてみると、お母さんではなくパジャマ姿の春樹が俺を出迎えに来ていた。


「ああ、春樹おはよう。返事もないから寝てるか出かけてると思ってたよ」


「俺もさっきまで寝てたからタイミング良かったな」


「ああ、それで......」


「いや、もう言わなくていい。お前がこんなときになんで来るかなんて理由は分かってるからな」


どうやら友達は伊達じゃないということらしい。


分かっているなら話は早い。


これは復縁に近づけたのではないかそう思った。


「でも俺は絶対に優斗とは仲直りしない。」


そう春樹は強く拳に力を込めながら言い加えた。


「でもあいつだって悪気なかったかもしれないだろ。例えばあいつも佳奈さんのこと好きだったとか」


「その可能性もあったかもしれないけど、それこそ友達なら言ってくれたんじゃないか?俺だけ切り札明かされてる状態の恋愛(ゲーム)なんてそんなのアンフェアじゃないか」


春樹はさらに声を荒らげながら、そして恋愛に負け自分が選ばれなかったことを悔しそうに目に1寸の涙を浮かべながら言った。


「俺いくつか思うところがあるんだよ......。例えばテスト期間2人だけで勉強したことあっただろ?あれ優斗は佳奈たちと勉強してたんじゃないかとかね。俺......馬鹿だよな。最初から友達に取られて叶わない恋をしてたなんて」


俺は春樹の話をうんうんと相槌を打ちながら、必死に励ました。


そして何度か許すつもりは無いかと聞いたが結果は同じだった。


「わかった。春樹また明日も来るから辛いことあったら言えよ」


「ありがとう。きついこと言ってごめんな。お前は悪くないのに」

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