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-第69話-カウンセリング

「よし、それじゃあ、お話はこれくらいにして、試験まで近いし早速勉強始めようか」


姫芽さんや梨花さんもそれぞれカップを持って俺と安芸さんの待つ机に戻ってき、安芸さんの掛け声と共に勉強会が始まった。


「じゃあまずは姫芽と梨花は好きなことしてていいよ。山口くんのレベルを知らないといけないからね」


「うん、分かった。山口くん困ったことがあったらいつでも姫芽に言ってね」


「ああ、ありがとう」


どうやら安芸さんは一緒に勉強会という場所を提供するだけではなく、しっかりと俺に教えてくれるっぽい。


「とりあえず毎日の勉強時間を......」


「もちろんゼロだ」


安芸さんが言葉を言い終わる前に俺は自信を持って言ったが、彼女は特別落胆するといった感じではなくジト目でこちらを見ながら落ち着いて声色で返してきた。


「なんで堂々としてるの......。まあ姫芽から何となく聞いてたし分かってたけど......」


「なんか、ごめんな」


「いや、いいの。別に家で勉強していなくたって私たちには学校があるのだから」


安芸さんが無理にテンションを上げるように言う。


「大変申し訳ないのですが......授業もさっぱり。でも今日だけはちゃんと聞いた」


「うん......なんだろ。それなら赤点8個って聞いてもしょうがないなとしか思えないよ......。むしろ何教科か赤点回避してるのがすごいなって思う」


「あはは、そうか。真正面から言われると照れるな」


とぼけるように俺はわざとらしく頭をかいた。


「いや褒めてないよ......。まさか現代文点数が」


「もちろん赤点だよ」


「よし、山口くん。現代文は諦めよう」


俺は柄にもなくふざけたつもりだったのだが、真面目に言っていると捉えられて登場人物の感情が理解できないと思われてしまったのだろうか。


「あ、ああ。じゃあどれをやればいいんだ?」


「1番大事なのは数学と英語って言われてるよね。まあ、大事な理由が積み重ねが大事だからなんだけど」


「じゃあテスト前にやっても意味が無いってことか」


「ううん、でもそれって裏を返すと何も勉強しなかったら点数が取れないってことになるからね」


「ああ、確かに」


「じゃあその2教科からやっていこうか。この間の授業で演習プリントが配られたけど、やった?」


「いや、もちろんやってないぞ」


「そうだよね。じゃあそれやってみてくれない?」

「でも俺それ持ってないぞ」


いくら普段机に向かわない俺とはいえ、勉強に教科書は必要だと思って重い思いをしながら全て持ってきたが、プリントは完全に忘れていた。今も今学期のプリントは全て机の中に無造作に積み重ねられている。


「私のほら、あげるから。これでやって見て」


「いや、それじゃあ、安芸さんが......」


「私これでも学年1位だから、自分で言うのもなんだけど、こんなのなくても全然何とかなるよ。まあ山口くんはどうせ持ってないと思って写真撮ってあるけどね」


安芸さんが少し恥ずかしそうに言う。


薄々安芸さんは勉強出来そうだと思ってはいたけど、まさかの学年1位だったとは.......。


さすがはうちの学校の天使様だ。


神格化されるには容姿と家柄だけでなく、成績までもそれだけのスペックが要求されるのだろう。

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