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-第63話-帰り道②

「ね、ねえ。山口くんともちょっといいかな」


会場からの帰り道、次も一緒に行こうねといい感じの雰囲気で会話も終わり、ただ黙々と駅を周りの人達と足並みを合わせて目指している時、俺と姫芽さんの間で歩いていた安芸さんが俺にだけ聞こえるような小さな声でコソコソと話しかけてきた。


「ああ、どうしたんだ?」


「さっきは時間なくて聞けなかったんだけど、写真立てって何に使うつもりだったの?」


「ああ、自分でもよく分からなくなっていたところだよ。いわゆる衝動買いってやつかな」


家族との写真を入れるにしてもこんなアイドルの写真が堂々と印刷されているものを使うのは、俺が気にしなくてもその額縁に入れられる結奈やお母さんが気にするだろう。


「あはは、やっちゃったんだね。私はそういう経験ないけど......」


安芸さんが共感できないことを申し訳なさそうに呟く。


そもそも安芸さんが買い物している風景が俺には想像つかないし、無駄遣いが人生で才能のない人の次くらいに理解できなさそうだもんな。


「今更返品なんて出来ないしな。第一ライブは終わっちゃったわけだし。これが衝動買いの怖いとこだな」


「まあ、第2部があるから全然返品自体は時間的には出来ると思うけどね。ねえ、せっかくだしさ姫芽も含めて記念に写真撮ってそれに飾ってくれないかな?」


「ん?」


「い、いや、もちろん、そのデータは私も貰うし、姫芽にも送るけどやっぱ思い出って大事じゃん。一期一会ってやつだよ」


なぜか安芸さんがテンパっている。


つまりこの謎の写真立てを持て余している俺への気遣いなのだろう。


「いいですね、それ。姫芽もせっかくお嬢様も山口くんも付き合ってくれたわけだから思い出に何か取っておきたいなって思ってたところだったんです」


「姫芽さんも写真をこれの中に入れて俺の部屋に置いておいても大丈夫か?」


提案者の安芸さんはともかくとして一男子高校生の部屋に写真が飾られるというのはおぞましく思う人もいるだろうから一応確認を取っておいた。


「うん。姫芽にも写真貰えるんだったら大丈夫だよ」

「ありがとな」


「よし、じゃあ、決まりだね。それにしてもどこで撮る?」



俺たちの会話が終わったタイミングを見計らってか安芸さんがどんどんと設定を進めていく。



「うーん、ここは人も多いしな。記念という意味じゃドームの前とかで撮りたかったけど、もう今更戻れないよな」


俺は周囲を見渡しながら人の流れが一方通行なことを確認しながら言う。


「ほんとにそこだよね。少なくともここの駅から電車で別の駅に移動するまでは撮れないね」


「そうだよな。安芸さんたちは帰りも電車なのか?」


こんな人混みの中に大事な令嬢を弱っちい男子高校生と女子高校生だけと一緒にいさせるなんて責任感が無さすぎる。


安芸さんは誰かに狙わけたりしているわけではないが、それくらいの緊張感を持った方がいいと思う。


「ここまで迎えに来てもらったら姫芽の趣味バレちゃうしね。なんなら私もここに来たってことバレたら親に合わせる顔がないし......」


アイドルが好き、嫌いという前に彼女は将来を期待された優等生であり社長令嬢だ。


やっぱり人の目を気にしないというのは無理なのかもしれない。


「あ、でもこの間山口くんと一緒にポテまると遊んだ時みたいに、駅までは来てくれるらしいから心配しなくて大丈夫だよ」


学校終わってから今まで何していたのという話になりそうだが、彼女が大丈夫だと言うならそこに無関係の俺が踏み込む余地はないだろう。


「じゃあ安芸さんたちが降りるたときに、いつもの像のところで取らないか?」


「いいね、それ。姫芽も賛成」


「うん、私もそれでいいと思う」


1発で2人からOKが貰えて一安心だ。

100000文字超えました!要約長編って名乗れますね

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