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-第60話-開幕

「あ、もうすぐ始まるみたいだよ」


「俺達も行くか」


グッズを買い終わり満足していたら周りの人々が続々と移動を始めていた。


みんなの向かう先はただ1箇所ライブ会場の入口で、俺達もその列の最後尾を探して目線をちょろちょろとさせている。


「あ、あそこかな」


安芸さんが最後尾と書かれた看板を持つお姉さんを発見したようで指を指している。


「ふわぁ、今日はなんだか並んでばっかだね」


「推しに会いに行くためならこんな行列なんのなんのって感じですよ、お嬢様。それくらい我慢してください」


「ええ、なんかごめんね」


並ぶのをさっきから嫌がっている安芸さんに対し、唐突なキャラ変を遂げた姫芽さんが厳しく安芸さんをたるんでいると注意している。


「まあまあ、早く並ぼうよ。並ばなきゃ入れないんだし」


「そうだね。ごめん、山口くん」


「さすが、山口くん。お嬢様をすぐに丸め込んで......やり手だね」


「いや、何を言っている」


相変わらずテンションのおかしい姫芽さんをなにか起こすかもしれないと心配し、目の端で捉えながら俺は強引に列に並びに行った。


「ついに始まるんだね」


「ああ、俺も楽しみだ」

10分ほど更に並んでやっと会場内に入れた。


俺は素直にアイドルライブというものを初めて見るのですごく楽しみで期待しているという気持ちが自分の中で先行している。


やっぱりこういうのは姫芽さんに送ってもらったリンクからみた動画よりも実物の方が迫力があると言うし。


「えーと、姫芽たちの席はBブロックの......」


姫芽さんが俺たちの座席をチケットと見比べながら確認してくれている。


結局チケット代金も余り物だからと言って払わせてくれないし、何から何まで任せっぱなしで申し訳ない。


「こっちだよ。おいで」


俺と安芸さんを先導する姫芽さんについて行く。左右を見渡してもやはり女性は圧倒的に少ない。


そんな中女性2人を連れているのはまさに両手に花という状況を体現しているように見える。


実際には姫芽さんに花とおまけがついているだけなのだが。


「よし、ここだね」


「うわ、意外と狭いんだね」


「そりゃ、このドームにも3万人くらい収容されるわけだしね」


「今回のライブも1万人以上は来るそうですから、狭くても仕方ないですよ。みんなで見れた方が楽しいですし」


やっぱりこういう体験に慣れていないのか安芸さんがさっきから驚きまくっている。


「あ、そういえばさっき買ったTシャツに着替えちゃおうか」


周りを見渡すと大体の人がそれぞれの推しのTシャツに着替えているようで、綺麗に5色に別れていた。流石にここで脱ぐのも世間体的にも、2人の場合は女性としてまずいので上に重ねて着た訳だが。


ふと時計をみると短針が11と12の間の12よりのところを指していた。


きっともうすぐ始まるのだろう周りはすっかり話に花が咲いているようで盛り上がっている。


しばらく待っていると大音量で音楽が流れ始めたと同時に舞台に繋がる橋の5方からそれぞれメンバーが出てくる。


ファンもそれに気づくとさっきまで喋っていたというのがまるで嘘だと感じるほどにすっかり静かになった。


これが俗に言うオタクの団結力というやつなのだろうか。


「おー、始まったね」


「はい! お嬢様。練習したコール精一杯発揮しちゃってください」


2人もどうやらテンションが上がってきたらしい。

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