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-第57話-待ち合わせ③

日が経つのは早いものであっという間に姫芽さんや安芸さんとライブに行く予定の土曜日になってしまった。


あの日以来安芸さんとは会話をしていないしRINEもしていない。


元々住む世界の違う人なので当然といえば当然であるが、やはり3日間関わりを持っていないというのは初めてのことだったので少しだけ寂しい気がした。


とは言っても俺は安芸さんや姫芽さんとか絡んでいないだけであって、今日に向けて何もして来なかったというわけではない。


しっかりと姫芽さんから送られてきた動画を繰り返しみて、反復練習を重ねた。


おかげで元から聞いた事のあったMIXはもちろんのこと、コールも今日のライブで歌われる曲のアイリさんの分は全て覚えてしまった。


安芸さんたちとの待ち合わせはいつもと同じ、同校の生徒に見つかりにくい駅の反対側の広場。


俺は授業中距離はコールを何回も頭の中で反覆することに必死になっていて、いつも通りではあるが特に授業を聞くということはなかった。


でも少しだけ「来週からテストだから勉強しておくように」という数学科の教師の言葉が聞いた覚えはないのだが頭に残っている。


はあ......テストか......。と思いながら、俺は学校から駅へと向かう坂道を下りながら考えていた。


姫芽さんとも話したが、俺はテストのために勉強する習慣も無ければ、日頃から勉強する習慣もない。


そのため本当に成績が悪い。


それもテストの度に担任から呼び出されるレベルでは。


そもそも授業を聞いてないやつが勉強するということ自体がおこがましいというかなんというか......。


まあこれ以上は見苦しい言い訳になってしまうから控えようと自分の中で思い考えるのをやめた。


無意識的に歩いていたので気づいていなかったが、もうそろそろ駅に着く頃合いだ。


周りを見渡してもみんな改札口の方へ使っていっているので、やはりこの待ち合わせ場所にしておけば見つかるということは無さそうだ。


「あ、山口くんいた!ごめんね、待った?」


待ち合わせ場所に着いてから5分ほど経ってからいつものように安芸さんと姫芽さんが到着した。


毎回このやり取りをしているものだがら、まるで安芸さんが遅刻癖のある人のように感じるかもしれないけれど、彼女は俗に言う完璧美少女というやつだ。


学校遅刻なんてしたことないだろうし、俺と会う時も社会的に角が立たないようなわざと到着時間をずらしているだけだ。


「安芸さんこんにちは。姫芽さんも誘ってくれてありがとね」


「うんうん、大丈夫だよ。チケット余ってただけだから。お嬢様も付き合わせちゃってほんとにすみません」


「いやいや、私は大丈夫だよ。姫芽の好きなこととか興味あるし」


「そういって貰えると助かります」


「せっかくだからコールまで覚えてきたしね」


「え?」


姫芽さんが意外そうに声を上げた。


「あれ、山口くん言ってなかったの?」


「ああ、すっかり忘れてた」


あの日以来この2人と連絡を取るということがすっかり頭から抜け落ちていたからだ。


「それにしても2人とも推しが同じだなんて凄いね!」


「そんないいものじゃないですよ」


俺に教えて少し考え方が変わったかと期待していたが、どうやら姫芽さんの考えは一貫しているようだ。


「そうか?俺は姫芽さんから色々と教えて貰えて嬉しかったけどな」


「先輩として当然のことをしたまでだもん」


「そっか。ありがとな」


姫芽さんは少しだけ照れたような表情を見せた。


「話の続きはこの後にして、そろそろ行こっか」


「山口くんごめんね。車は流石に出してもらえなさそうだから、電車で行くけど大丈夫?」


「ああ、元から車に乗せてもらえるなんて選択肢浮かんでなかったから全然大丈夫だぞ」


安芸さんにそんな趣味があるとは親御さんたちも思っていないだろうし、ライブに行きたいと言ってもさすがに車は出して貰えないだろう。


俺たちは続々と電車に乗っていく同校の生徒たちに流されるように一緒になって電車に乗り込んだ。


その間俺は安芸さんたちとは話さないようにしていたが、2人は楽しそうにしていたので俺が黙っていた方がいいのかなと思い少し心が痛くなった、

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