-第5話-新たな女の子
そのまま何事もなく廊下を歩ききり、階段の最後の段に足をかけると安芸さんといつも安芸さんや梨花さんと一緒にいる黒髪を2つに結んだツインテールの女の子がいた。
「山口くん、今回も来てくれてありがとう」
「昼のお願いは本当なんだね」
「もちろんだよ。で、私を幸せにするって言っても私のことを知らなければ何も出来ないし、連絡取れなければ幸せになんて出来ないから連絡先交換しようと思うんだけどいいかな?」
安芸さんはいつも通りの天使様フェイスでにっこりと笑いながら言ってくる。
こんな笑顔の可愛い女の子が悩んでいることなど微塵もわからない。
本当にお願いの昼のあれはなんだったのだろう。
恐らく連絡先を交換するとなるとRINEでの交換になると思うが、学校一の美少女の連絡先はおろか友達の連絡先すら入っていない俺にとって安芸さんと交換するなど恐れ多いことだ。
「俺としては構わないけど、安芸さんはそれでいいの?対外的に見て男と繋がってるように見えるよ」
「そんないちいちRINEのことまで見る人なんていないよ...第一、山口くん以外の男の人なんて....」
安芸さんは恥ずかしそうに左右の指をつんつんしている。
最後の方は聞き取れなかったが、とにかくプライバシーが重視される世の中でスマホの中身まで重箱の隅をつつくように確認してくる人なんていないということなのだろう。
まあ俺としてもどうすればいいのか分からなくなっていたから正直RINE交換はありがたい。
「じゃあ俺としてもありがたいし交換しようか」
「やった!毎日メッセージ送っちゃうね」
「からかわないでよ。俺なんかに送っても面白い返信なんて出来ないよ」
「私だって全然RINEしないから期待されても困るかな。はい、コード読み込んで」
俺は安芸さんのスマホに表示されたコードを読み取って「安芸美玲」と表示されたおしゃれなカフェのコーヒーの写真がアイコンになっているアカウントを追加した。
さっき梨花さんから聞いたように安芸さんは色々と友人関係も制限されているから交換している人も少ないのだろう。
それだけ俺はこの件では信用されるし、俺なんかに連絡先を渡してまでも解決しなければいけないほど彼女にとっては深刻な問題なのだろう。
ますます真剣に考えないといけないな。
安芸さんのRINEを俺なんかが交換していいものなのかと思うが、もう交換してしまったものはしょうがない。
クラスの陽キャたちにバレないように学校では開かないようにしよう。
まさか初めて母親以外が登録されたからって喜んで授業中でも頻繁にチェックしようだなんて思っていたわけでは決してない。
「山口くんも放課後忙しいだろうし、縛り付けて置くのは悪いし、私たちはこれでお暇しようかな」
「じゃあね山口くん。私たちのRINEも欲しかった?」
「ありがとうございました。山口くんまたお願いします」
とそれぞれ言い残して去っていった。
あのツインテールの子は名前は分からないが梨花さんと同じように付き人やそこらなのだろう。
まあもし困ったことがあったらRINEを教えてもらおうかな。
梨花さんの言い方からしてまた会うのは確定なのだろうし。
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