-第54話-授業
「で、本題の色々教えてくれるってのはなんだったんだ」
俺たちは他愛もない話を5分、10分としていたが、これ以上姫芽さんの時間を奪ってしまうのも申し訳ない気がしたので、俺はそう切り出した。
「あー、すっかり忘れてたよ。それで、なんでアイリたんなの?」
「うーん、なんかビビッときたって言うか、あの中だと輝いてたって言うか」
「結構言うね......。要するに顔が好みだったってこと?」
「まあ、それもそうだけど、喋り方が威風堂々としているというか。なんかカリスマ性を感じるというか」
「もう、それめちゃくちゃ惚れ込んでるね」
「いや、そういうわけでもないぞ。第一さっき見たばっかだしな」
「ふーん、まあ好きになる理由なんて関係ないしね」
姫芽さんがドヤ顔でウィンクしながら言ってるのが容易く想像出来る。
「それはそうと何を教えてくれるんだ?」
「うーん、コールとかMIXとか覚えとけば楽しめるかなって。あとはサイリウムの振り方とか」
「お、おう。色々あるんだな。何が何だか」
「コールっていうのは曲の合間にやる『アイリたん可愛いよー』とか、こっちは聞いた事あるかもしれないけど『fufu-fuwafuwa』みたいなファンの間でかける掛け声みたいなやつかな」
姫芽さんは人にアイドルの話が出来るのが楽しいのか嬉々として語ってくる。
確かに学校で音楽を聞いている時は、友達のいない俺にすらバレたくないと思っていたっぽいし、その様子じゃ自分の友達にアイドルが好きですなんて言えないもんな。
「これは色々種類があるからおいおい覚えていけばいいかな」
「MIXっていうのはどの曲でも基本共通だから今から覚えてもいいかもね」
「ほうほう」
「これは『タイガー、ファイヤー、サイバー』みたいなやつだよ。聞いたことない?」
「あーあるかもしれない」
なんか国民的アニソンに合わせてそれを言っているのを動画で見た事あったきがする。
「じゃあ、それはあとで見て覚えといてね。もう夜遅いし」
時計を見るともう10時半を回っていた。
明日も学校あるわけだし、そろそろ辞め時か。
「でサイリウムってのは分かるよね」
「あの光る棒だよな」
「まあ言い方あれだけどそうだね。あれってメンバーごとに色が決まってるんだよ。ほらTシャツの色違ったでしょ」
「あー、言われてみれば確かに」
「そうそう。アイリたんであれば赤みたいなね」
イメージカラーみたいなやつだろうか。
確かにイメージカラーとかあれば馴染みやすいというのは分かるかもしれない。
「ちゃんと点灯させるタイミングあるからこれも動画見てとしか言えないけどね。過去のライブ映像とかあがってるから」
「そうなのか。色々とありがとな」
「ううん、全然大丈夫だよ」
「そういえば安芸さんには見せなくて良かったのか?動画とか」
「お嬢様に時間取らせちゃうなんて申し訳ないですからね」
「ああ、やっぱりそういうことか。でも安芸さんも俺みたいに勉強したら、楽しめんじゃないか?」
「うーん、確かにそうかも。姫芽からいうのもあれだから山口くんお願いしてもいい?」
姫芽さんが申し訳なさそうに言ってきた。




