-第52話-
『はーい。みなさんこんにちはー!いつも見てくれてありがとね。今回はメンバー紹介ということで、私たち一人一人が自己紹介していきたいと思います』
軽快な挨拶ともに素晴らしい笑顔を浮かべた5人の10代と思われる女の子たちが画面に登場した。
最近はアイドルも動画あげて知名度を稼いでかないと、売れない時代になってきているのだろうか。
俺は全くこの業界に詳しくないが、最近はアイドルがスマホ1台で誰でも目指せる時代になってきているとも聞くし、やはり俺の見立ては合ってるとみて良さそうだな。
『はい。じゃあ私から!さっきから喋ってるから、バレてるかもしれないけどリーダーのユイです。よろしくね。好きな......』
オープニングトークをしていた落ち着いた雰囲気のあるいかにもリーダーという風貌の少女が話し始めた。
この喋り方しかり、この娘含め周りの5人を見てもみんな第一印象は「普通」というイメージを抱かざるを得ないと言った感じのグループだ。
でも実際この娘たちは俺と同年代ながら大きなドームでライブが土曜日に決定しているわけだし、姫芽さんの口ぶりからして以前から行っているものとしてかなりアイドル界では大物なのだろう。
アイドルはみんなの憧れでパッと見たら惹かれてしまうような容姿をしていて、というそんな俺の偏見は崩れ落ちた。
この娘たちより全然安芸さんの方が可愛いと思うし、実際学内での人気も凄まじいわけだから安芸さんもアイドル向いてるのかもな......。
このユイと名乗った少女に続いて残りの4人も同じように自己紹介していった。
好きな食べ物であったり、最近あった話であったり、今後の目標であったりとありきたりな自己紹介動画であったが、メンバーそれぞれ個性があり、分かれている役割がしっかり掴める内容で、勉強するという意味で見るならば非常に見応えがあった。
『姫芽さん。見終わったよ』
『おー、山口くん早いね。てっきり姫芽明日明後日まで見てこないものだと思ってたよ』
『元々ライブ見に行くなら勉強しないとなと思っていたからな』
『えー、意外。勉強熱心なんだね。成績いいの?』
『いいわけないだろ。授業も聞いてなければ、家で勉強しているわけでもないんだ』
俺は恥ずかしがらずに言い訳を並べていく。
とてもダサい行為だということは分かっていても、優等生の姫芽さんの前で堂々と自分勉強出来ませんというのはどこかプライドに障る気がするからだ。
『ふーん、じゃあテスト近いけどなんもしてないんだ』
『いや、近いってまだ1週間以上あるだろ』
『もう、勉強してる人は始めてるらしいよ』
時刻は午後10時を回ろうとしているのに姫芽さんからポンポンと次々メッセージが返ってくる。
『まあ、それはそうと。姫芽さんの好きな娘は誰なんだ?さっきのグループの中で』
『うーん、私はアイリたんかな』
アイリたんというのは恐らく4人目に自己紹介していたアイリという娘のあだ名なのだろう。
腰まで綺麗に伸びたメンバーの中で1番長い黒髪に、目鼻立ちのしっかりとした綺麗な顔、容姿はアイドルなのだが、俺の思い描いていたアイドル級と言っても問題ない。
また、まだ慣れていないのかメンバーに対しては敬語を使っていたが、堂々とした自信が伺えるそんな性格。
どこかで見たことあるような気がしたが、それは気のせいで俺の理想のアイドル像にマッチしているということなの




