-第50話-
屋上の階段には安芸さんも他のカップルや告白現場にも遭遇しなかったため、いつも通り平穏に昼食を取る事が出来た。
そのこともあってか午後の俺は少々気楽に座学の授業を聞いていた。
特にノートを取ったり、先生の言っていることをメモしたりと勉学に役立つようなことは一切していなかったがとにかく気分だけはとても優れていた。
いつも憂鬱に受けている授業が気楽なものとして感じ取れるというのはとても大きなもので、実際帰り道俺は鼻歌交じりな上機嫌で帰路を歩んでいた。
突然ポケットが振動した。
慣れないことだったので一瞬なんのことか理解するのが遅れたが、これはおそらくRINEに誰かからメッセージが来たことを表すスマートフォンのバイブだろう。
結奈は毎日メッセージ送ると言ってきていたが、こんなあと少しで家に着くタイミングで送ってくるとは考えにくいし、安芸さんや梨花さんも別に俺に用事はないはずだ。全くこんな俺に放課後になってまで絡んでくるお人好しは誰なのだろう。
パッとスマートフォンをポケットから取りだし、画面を確認する。
するとそこには『お嬢様に言っておいてね』というメッセージが表示されていた。
なんのことか分からなかったが、差出人の所に目線を向けると『hime』と書いてある。
これって昼の会話の内容と合わせて考えて姫芽さんからだよな......。
あれ......俺、姫芽さんと連絡先交換してたっけ?してないよな......。
梨花さんから俺との繋がりを表にしていないから絶対に渡さないだろうし、安芸さんも性格的に勝手に人の連絡先を渡すなんて不誠実なことはしないだろう。
無論残りのお母さんも結奈も接点無いわけだから姫芽さんと交換しているはずもなく......あれ流出してる?
まあ、そんなことは置いておいて今はメッセージの内容に集中しよう。
今までの高揚していた気分が一気に下がっていくのを身に染みて感じた。
まあでもよくよく考えてみれば、優しい安芸さんのことだし誘われたのが例えアイドルのライブだったとしても一緒に行ってくれるはずだ。
しかもそれが姫芽さんの好きなグループとなると尚更興味を持つことだろう。
そう一瞬の気の迷いでは無いはずだと自分の考えを信じ、俺はRINEを開き安芸さんとのトーク画面を選択した。
『安芸さん。昨日遊んだばっかだけど、土曜日は空いてる?』
『大丈夫だよー。またどこか行くの?』
すぐに返信が返ってきた。
俺が家の近くにいるということは彼女は車の中で暇そうにしているのか、もう家に着いている頃だろう。
『ああ、ライブに行こうと思ってるんだけど』
『ライブってあのなんかいぇーいって感じのやつだよね』
なんだそのイメージ。
あながち間違っている訳では無さそうだけど。
『そう、まあそれだ。ほら、昨日の姫芽さんのやつ見ただろ?』
『うん。あの子バレてないと思ってるのかもだけど、私もとから知ってたし......』
やっぱり詰めが甘いなここの主従関係。
『なら話は早い。姫芽さんと一緒に行くことになったから安芸さんもどうかなって』
『私は全然大丈夫だよ。梨花はどうしよっか』
あー。梨花さん鈍感だし絶対気づいてないんだろうな。
『一旦、この3人で行くって方針でいいか?』
『うん。それはそうと山口くんも姫芽と同じアイドル好きなの?』
『いや、1人も名前知らない』
『あはは、そうだよね』
くだらない会話をするのも安芸さんに悪いので、俺はスマートフォンを閉じた。
50話と区切りいいのと活動1ヶ月なのもあって活動報告を真面目に書きました。
応援してあげるよって方はぜひ読んでいってください。
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