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-第49話-

「それなら一安心かな。ほんとにほんとだよね?」


姫芽さんが目をうるうるとさせながら上目遣いで俺の事を見つめながら聞いてくる。


なんか昨日も見たような光景だな。


「なんか他の人の趣味を広めてもなんも得ないだろ」


「それはそうだけど......」


姫芽さんはどこか納得できないのか俺が何度も言わないと繰り返しているのにもかかわらず、しつこく聞いてくる。


もしかして俺信用されてない?


「ねえ、山口くん。広めないって誓えるなら私に耳を貸してくれない?」


姫芽さんは一歩踏み込んで俺にそう言ってきた。


「ああ、どうした?」


俺は元から広めるつもりなんて甚だなかったわけだし、迷うことなく姫芽さんの身長に合わせるように少し屈み、耳を向けた。


「あの......チケット余ってるんで一緒に行きかないかな?」


姫芽さんは少し貯めを入れてから言った。


「え?」


「だから、アイドルのライブだって」


「はあ......でもなんで」


「だって、ほら、山口くんも一緒に行けば山口くんもアイドル好きってことになるでしょ?」


なるほど。


所謂共犯になってってやつだろう。


別に俺は広められて被害を被ることは1件もないのだが、でもここで俺が一緒に行くということで姫芽さんの心が軽くなるのであろう。


「まあ、俺はいいぞ。チケット余ってるってことはタダなんだろうし」


「そんなぞんざいに扱わないでくれる?」


「ああ、すまん」


姫芽さんは急に気を昂らせて口調を強めてきた。


「姫芽さんがアイドル好きってことは安芸さんもある程度は分かってるんだろうしせっかくなら誘わないか?」


「えっ......お嬢様か......」


「ああ、ライブって楽しいものだろ?俺としてもそれで安芸さんが喜んで幸せになってくれるなら嬉しいしな」


こう言われたら姫芽さんは断れないだろうと分かっていながらも俺は言ってしまった。


好きなものが楽しいって言われたり、大好きなご主人様を幸せにしたいと言われたらもう彼女は4倍弱点つかれたようなものだ。


「う、うん。いいよ。でも嫌って言ってたら無理やり誘うようなことだけはしないでね」


あくまで主人思いな従順な付き人ということか。


まあでもあの安芸さんのことだから姫芽さんの好きなものを否定するような行為は決してしないだろう。


「じゃあ、今週の土曜日学校終わったらね」


「ああ、わかった。学校終わってからそんなすぐあるのか?」


「うん。夜は姫芽も色々と忙しいからね。だからなかなかライブとか行けないんだよー。でもこの娘たちはね!昼もやってくれてすごい助かってるんだよ」


姫芽さんがいつになくよく口を回して語っている。


好きなことになると暑くなってしまうタイプなんだらうか。


「ああ、わ、わかった」


「うん!じゃあ土曜日ね!」


そう言って姫芽さんはとても嬉しそうに走り去って行ってしまった。


まあ、俺は元から昼食を取るつもりだったし、俺もそろそろ行くとするか。


後で安芸にさんに連絡するのが少し気だるげだ。


でもお昼の陽気に免じて許そうと思う。

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