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-第47話-

「ちょっとお兄ちゃん意味がわからないよ」


結奈はまたもきょとんと首を傾げながら、聞き返してくる。


「だから、今日一緒に歌った曲そういうことじゃないのか?いや.......」


少し直球に言いすぎてしまった気がして、俺は言い変えようとした。


「お兄ちゃん.....分かってくれたの?」


結奈は俺から目線を逸らすように顔を下に向けながら、俺の方へ近づいてくる。


「お兄ちゃん......さっきのことほんとにほんと?」


そんな言葉と共に結奈が抱きついてきた。結奈の言葉はとても幼く聞こえる。


いつもの落ち着いた1人の女性として立派に育った結奈ではなく、まるで小学校のときのように感じる。


「ああ、俺はお前のお兄ちゃんだからな」


まるでアニメの主人公のような格好つけた台詞だけど、不思議と今なら許されるような気がした。


結奈の身体の温かさを直に感じながら、俺も結奈に抱きつき返す。


今までの不安を晴らすようにより一層結奈の締め付けは強くなる。


「お兄ちゃん。安芸先輩と仲良くするのはいいけど私とも遊んでね」


小学校の時を思い出させるように結奈が言う。


俺は結奈にとってたった1人の「お兄ちゃん」なんだから仲良くするのも、結奈が困ってたら助けるのも当然のことだ。


「もちろん。今度は2人で遊ぼうな」


「うん!」


結奈は嬉しそうに声をはね上げながら、身体もぴょこぴょことさせている。


抱きつかれたままの体勢だから結構俺にまでダメージがくる。


でもそれがどこか心地よく感じてる自分がいるような気がする。


「もうちょっとだけこうしててもいいかな」


「ああ、俺ももう少しだけ.......」


堪能したい。なんて気持ちはなく、結奈がこれで落ち着いてくれるなら安いものだと思ったからだ。


「なんで気づいたの?」


しばらく無言で抱きついてきていた結奈が突然口を開いた。


「何となくかな。だってわざわざあんな曲選ばないだろ」


「まあ私もよく考えてなかったんだけどね」


結奈が誤魔化すようにあははと笑いながら言う。


「結奈が自分ことと重ねてるのかなって思わざるえなかったからな。最近なんか俺に対してすごい絡んできてたし」


「なんかそれじゃ私が無理やりお兄ちゃんと絡んでるみたいじゃん」


「まあ半分そうかな」


結奈は俺の言葉が不満だったようで顔を膨らませている。


でも俺の元から離れないあたり本気で怒っているわけではないんだろう。


「うん、もう大丈夫」


しばらくして結奈は自分から離れていった。


「あ、ひとつ言い忘れてたんだけど、私に構うだねじゃなくて安芸先輩とも遊んでね」


「ほら、終わり終わり!今日のは忘れてね」


結奈は言い終わったからか俺を部屋から追い出すように、手で先程まで抱きついていたはずの俺の事を振り退ける。


俺はそんな結奈を見て1人の女性として好きなわけでも、安芸さんからのようにお願いをされたわけでもないが幸せにしてあげたいと思えた。


でも少し心に溝が空いたような気もした。


その夜引いたソシャゲのガチャは確定枠以外何も出なかった。

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