-第45話-
「ま、私もたまには安芸先輩とも遊びたいかな」
結奈は結奈ですっかり安芸さんのことを気に入ったようだ。
安芸さんも結奈のことを気に入っていたようだし、二人ともなにか共通点があるのだろうか。
学校一の美少女であり令嬢の天子様と呼ばれている安芸さん。対する結奈は安芸さんには及ばないがかわいいし、愛想もいいし成績もいい。
やっぱりハイスペックな二人同士でなにか通じるところがあるのだろうか。
努力もしてなければ才能もない俺には全く縁のない話だから一生わかる気がしないが。
「ああ、俺はこれからしばらくは関わると思うから、また誘うな」
「ありがとう」
結奈は嬉しそうに笑みを浮かべた。
「でもしばらく......?」
結奈は不思議そうな顔へとすぐに変わってしまった。またボロを出してしまった......。
ここはごまかしがきかないと思ったので俺は沈黙を貫くことにした。
俺らはそのまま黙り通したまま家に着いた。
今日の学校への登校路のように兄妹水入らずに和気あいあいと歩いていたかったものだが、俺が口を滑らせたがために気まずい雰囲気が続いてしまった。
「お兄ちゃん鍵開けてもらっていい?」
「ああ、ごめん」
俺は自分の家の前で呆然としていたが、結奈に注意されてしまった。急いで鍵を刺し結奈を中に入れた。
「ん、ありがとう」
結奈は軽くお礼を言って自分の部屋に直行していった。
いつも結奈は帰ってきたらリビングに行くので俺もついていこうと思っていたのだが、今は俺と話したくないということなのだろうか。
「あら、結奈と一緒に帰ってきたの?」
「ああ、一緒に出掛けてたからな」
「ほんとに最近意外なことが多いわね」
お母さんは意外そうな顔表情を浮かべながら話しかけてきた。
「でも、結奈すぐに上行っちゃたわね」
俺に非があるということはこんなに嬉しそうにわが子の成長を見ている母に言えるはずもなく、俺は黙ることしかできなかった。
結奈のもとにも、お母さんのもとにも居場所がなくなってしまった俺は自室に戻ることを余儀なくされたため階段に足をかけて歩みを始めた。
結奈がなんで選曲したのかについて考えるか。
俺はベッドに寝転がりながらいつも通り考え事を始めた。
あの曲は助けられてどん底からのし上がった主人公が助けてくれた人のありがたさを身に染みて感じるという曲だ。
なんかふと思いついた。結奈は自分と重ねているのではないかと。




