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-第40話-歌

「そろそろ歌わないとだね」


結奈は据え置きの機械を弄りながら言った。


実際カラオケに入店してから10分以上が経っている。飲み物を持ってきている間も歌わずに待っていたというのは普通では考えられないだろう。


これが育ちの良さなのか結奈と話していただけなのかは分からないが。


「誰も乗ってこないじゃん! じゃあ私が歌うからその間に誰が次歌うか考えておいてね」


結奈は入力が終わったのかマイクを持って立ち上がった。


やっぱり友達たちと行ったりしているから慣れているのだろう。


ポップなイントロとともに結奈は歌い始めた。


どうやら人気のアイドルソングのようだ。


普段からアイドルに興味のない俺でも聞き馴染みのある音楽だから相当有名なものなんだろう。


「早く次誰歌うか決めてよ」


結奈が1番を歌い終わり感想に入ったところで強めに言っている。


みんな結奈が上手いというわけではないが、可愛く歌うものだから聞き入ってしまっていた。


「誰が次歌う?」


「私はまだいいかな」


「姫芽もいいかな」


「私もです」


意を決して俺が聞いてみたが、誰も声を上げることはなかった。


結奈の提案でカラオケに来たわけだし、率先して歌いたいという人はいないみたいだな。


でも俺もカラオケなんて小学校の頃に家族と来たのが最後なわけだから、いきな歌う気にはなれない。


「みんなどうするのさ」


全く決まらない面々に向かってこれは痺れを切らして言ってしまった。


「じゃあ姫芽が歌おうか?」


結奈の歌が終わりかけている時にようやく声が出た。


おそらく周りに比べて行った回数が多い自分が前に出ようという配慮だろう。


そうして姫芽さんが次に機械を握った。


「結奈ちゃん上手かったし可愛かったよ」


結奈の歌も終わり最後に決めポーズをして、次の人に番を回そうとしていた。


安芸さんはすっかり結奈のことを気に入ったようで頭を撫でながら褒めている。


妹ができたという感じなのだろうか。


「よし、じゃあ姫芽行くね」


姫芽さんがマイクを握りイントロが始まった。


音楽がなり始めた途端、姫芽さんは人が変わりスイッチが入ったように踊り始めた。


この曲も女性アイドルの曲らしいメロディだが俺は知らないものだ。


黒く艶やかに輝くツインテールを揺らしながらキレキレに踊っている。


正直カラオケでこれほどのレベルのものが見れるとは思っていなかったからこの姿はとても驚いた。


「ふう......久しぶりにしたけど疲れるね」


久しぶりにということは恒常的にダンスしているわけではないのだろう。


そうなるとすごい素質だと思う。


「姫芽さん凄いね」


「山口くんありがとう」


「むぅー、お兄ちゃん私は?」


結奈が頬を膨らませながら聞いてきた。


自分を差し置いて兄が他の人を褒めたのが許せないのだろうか。


「はいはい、結奈も上手かったよ」


「えへへ、でも適当だなぁ」


俺が適当にあしらったのを勘づいたのか、褒められて嬉しそうにしていた顔を一瞬にして変えた。


「じゃあ次は私行こうかな」


安芸さんが機械を持っている姫芽さんの方へ近づいて行った。

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