-第36話-二次会
「いや、でも私は友達みたいなものだと思ってるよ。山口くんがどう思ってるかは知らないけどね」
安芸さんは少し気恥しそうに声量を落としながら言った。
今まで2回しか出かけたことの無い俺を友達みたいなものだと言ってくれている。
さすがは天使様だと思った。
でも彼女が俺の計画で嫌がっているようではないことが分かったので、それだけは良かったと言えるだろう。
これからも安心して幸せにすることが出来る。
「そうですか......。なんだかいい人そうで安心しました。お2人は安芸先輩のお友達ですか?」
結奈はこれまで大人しくしていた梨花さんと姬芽さんに視線を向け尋ねた。
これまで一言も発さず俺たち3人を見守っていた2人はいきなり話を振られるとは思っていなかったらしくアタフタしている。
「私たちは安芸美玲お嬢様の付き人みたいな感じだよ。2人が出かける時は同行させてもらってるの」
梨花さんは恐らく喋らないだろうから、姫芽さんが当たり障りのないように言う。
「使用人ってことですか。なるほど......。なんでお兄ちゃんたちについて行ってるんですか?お兄ちゃん信用出来ないと?」
「そういう訳じゃないよ。万が一2人に何かあった時取り返しがつかないことにならないようにね。私たち2人は結奈ちゃんと同じ学校に通ってるしね」
姫芽さんはそう言って自分の制服を強調するように胸を張る。
それにしても今日の結奈はめちゃくちゃ注意深いな。
さっきので俺と安芸さんの関係は納得してくれたと思っていたが、まだ何か気になるとこところあるのだろうか。
「お兄ちゃんとは個人的な繋がりはないんですか?例えば一緒に出かけたり、学校で話したりRINE交換してたりと」
結奈の言葉に合わせて今まで微動だにしていなかった梨花さんの目線が少し右上に向いた。
しかし、やはりこのことを話すつもりは無いようで彼女は口を結んだままにした。
「あるわけないよね?梨花」
「はい。もちろんです」
姫芽さんが確認を取るように梨花さんの方を向くが梨花さんは頷いた。
「そう.....ですか。ならいいです。先程から色々と聞いたりしてしまって、すみませんでした」
結奈は少し声色を落としながら言った。
まあ俺が人と久しぶりに関わっているのだから心配になるのも無理はないだろう。
お母さんの代わりという意味でも。
「ううん、全然大丈夫だよ。これからもお兄さんと仲良くしてもらっても大丈夫かな?」
安芸さんがいつもの天使様フェイスで結奈に尋ねる。
この顔をされたら老若男女問わず断れないだろう。
「はい。もちろんです。あんまり仲良くされすぎても困りますけどね」
「あはは、程々にお願いね。山口くん」
安芸さんははにかみながら俺の肩を優しく叩いてきた。
「そうだ。ここだとなんですし、カラオケにでも行きませんか?私ももっと先輩たちのこと知りたいので」
カラオケか......。
俺は今まで思いつきもしなかったな。
これこそ普通の高校生が行ってそうなものじゃないか。
さすがはリア充JK結奈である。
「どうします?お嬢様」
「少しだけなら行ってみようかな」
安芸さんは明るくそう言った。
まだ学校終わってから30分ほどしかなっていないため、結奈も安芸さんたちもまだ不完全燃焼なのだろう。
俺たちは二次会へと向かうことになった。




