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-閑話-

私──山口結奈は学校からの帰り道、3年と4ヶ月と16日ぶりにお兄ちゃんと2人きりで外にいた。


中学の時はお兄ちゃんは私に関わろうとしなかったし、去年は学校が違っていたから会う機会などなかった。


今日はお兄ちゃんの「知り合い」と会う日。


お兄ちゃんが取られるかもしれないという不安とお兄ちゃんはちゃんとした人とつるんでいるのだろうか利用されてないだろうかという不安が私の心の中で入り交じっている。


正直会いたい気持ちと会いたくない気持ちが格闘している。安芸先輩のような完璧超人とでもいうような存在が他にいないとも限らないわけだし、前者のお兄ちゃんを取られるかもしれない恐怖はまだ残っている。


まあとにかく実際に会ってみないと何も言えないわけだけど。


私たち兄妹は学校から徒歩10分くらいを経て最寄り駅の駅ビルの入口をくぐっていた。


ここに来るまでにお兄ちゃんの連絡先を獲得することに成功した。


今までお兄ちゃんはRINEなんて使ってるところ見たこと無かったから言い出せなかったが、最近はよく使っているようで、すんなり取得できた。


その「知り合い」のおかげでお兄ちゃんのRINEの重要性が上がって私が交換できたと考えると癪だけど、これで毎日お兄ちゃんと学校でも話せると思ったら、全然そんなことは気にならなくない。


「まだ来てないのかな?」


「多分ね。いつも時間ずらしてるから」


「え? なんで?」


「ほら、同じくらいの時間に着くとそもそも行く途中でドッキングするだろ」


どういうこと?


友達なら絶対にそんなことはしない。


誰に聞かれても胸を張ってお互いに望んで一緒にいますと言えるのが友達というものだと思うから。


でもお兄ちゃんは決して「友達」という言う方をせずに「知り合い」と言っている。


ということはやはり友達と呼ぶには何か足りない要素があるのだろう。


お兄ちゃん......本当に利用されてるわけじゃないんだよね......。


お兄ちゃんを利用しているのだとしたら絶対に許せない。


私は少し一人で考えたかったし、空席を探しに行き、私は少しでも端っこの方でひっそりと話をしたかったので、窓際の席を選んだ。


「さっきの話、放課後は遊ぶのに学校じゃそんな仲良くないの?」


「まあ、そんなところだ。相手にも事情があるんだろ」


「ふーん、それって友達って言うのかな。まあお兄ちゃんが楽しんでるならいいんじゃない」


再度確認を取ってみたが、やはりお兄ちゃんからの返事は変わらない。


私は事実を確認するのが怖くなり、後々来るわけだしその時に見極めればいいやと思い友達とRINEでもしようとスマートフォンに視線を落とした。


5分ほどしたところで入口の方から声がした気がした。


「お、山口くんこんなところにいたんだ」


どこか聞き覚えのある声で山口くん──お兄ちゃんは呼ばれていた。


私はお兄ちゃんの「知り合い」がどんなもんだと声の主の方を振り返ってみた。


え、なんで......?


お兄ちゃん昨日安芸先輩じゃないって言ってたじゃん。


私はいてもたってもいられず、無意識にお兄ちゃんの手を引いて走り出していた。


お兄ちゃん......なんで嘘ついたの......。


私のことが嫌いなの......?


2分ほど手を引いたまま走り私は肩で息をしていた。


お兄ちゃんは何も言わずに着いてきてくれていたけど、私はそれだけで喜べないほどに色々と言いたいことがあった。


「お兄ちゃん。私安芸先輩じゃないって昨日聞いたと思うんだけど」


「そ、それはな」


お兄ちゃんは言葉を詰まらせた。きっとなにか理由があったんだろう。


でも嘘をつかれたことはショックだ。


安芸先輩との間にもなにか事情があるようだし、私......もうわかんないよ。

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