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-第33話-放課後

誰と話すことも無く一日の半分が過ぎ6限が終わり、できることなら来ないで欲しかった放課後が俺の前にやってきた。


これから俺がお願いを叶えるということで連日連絡を取り合っている学校一の美少女である安芸さんと俺の大事な妹の結奈が対面するのだ。


「お兄ちゃん! 早く」


何か聞き覚えのある声がした気がしたので教室の後方のドアの方を見ると、結奈がこちらに向けて手招きをしていた。


なんだか既視感のある光景で嫌な予感がする。


「なんか可愛い子来てるわね」


「俺声かけて来ようかな」


「やめなさい。あんたじゃ相手して貰えないわよ」


男子の調子の乗った声や女子の結奈の容姿を褒める声が聞こえる。


やはり梨花さんが俺を呼んでいた時と同じような流れだ。


あとお前ごときにうちの結奈は渡さないからな。覚えておけよ。


俺は流石にお兄ちゃんと言われていることだし、梨花さんの時のようにとぼけることはなく結奈の方へ向かって行った。


「お兄ちゃん。学校お疲れ様」


「結奈こそ頑張ったな」


「うん! 私頑張ったから頭ぽんぽんして!」


結奈は甘えた声で俺にねだってくる。


さすがに人目につくわけだし俺としてはここで頭ぽんぽんは回避したい。


俺は上手く流そうと足を下校口の方へ向け一歩踏み出そうとした。


すると結奈は不満そうな表情を浮かべながら、俺の右腕を引っ張ってきた。


「なあ、結奈ここでは流石に......」


「やだ! 今がいいな」


「しょうがないな......」


こうなると結奈はめんどくさい。


俺はため息をつきながら結奈の頭を撫でた。


結奈の頭は昔同じように撫でた時よりも随分大きくなっているように感じた。


こんなことするのは小学校以来なわけだから大きくなっているのは当然だが、結奈の成長を直に感じられ少しくるものがあった。


「え!? よくわかんない人があの子の頭をぽんぽんしてるよ」


「あの子を泣かせたら俺がただじゃおかないぜ」


「多分同じクラスの人だよね......誰かわかんないけど」


梨花さんの時と同じように俺たちの方へ周りの視線は当然向いていた。彼らは俺と結奈のことをまるで恋人同士かのように好き勝手語っている。


だから俺はここで頭撫でるなんて嫌だったんだ。


でも結奈を見てみると満足したかのように歩き始めていた。


結奈の緊張が解せたと考えれば、まあ良かったのだろう。


どうせ俺のクラス内での印象なんてこれ1つで変わるものでは無いし。


「んふふーっ♪こうやって2人で歩くのも久々だね」


俺らはクラスメイトから目撃されてから逃げるように多くの生徒たちと一緒に駅へと向かっていた。


もちろん俺の隣では上機嫌な結奈が鼻歌交じりに歩いている。


時折向けられるバカップルを見るような視線が俺の心にずっしりと刺さっていた。


「今日の朝も一緒に登校したろ」


「でもその前はずっと昔でしょ?」


確かにこうやって行きも帰りも同じだとまるで仲のいい兄妹のように感じるが、実際は3、4年ぶりに一緒に歩いている。


正直結奈が迎えに来た時には驚いた。


中学校の頃も1回もそんなこと無かったから、学校で俺と会うのはあまり望んでいないものだと思っていたがらだ。


「なんでさっきは突然教室に押しかけてきたんだよ」


「だってお兄ちゃんと一緒に行きたかったんだもん。でもお兄ちゃんとRINE交換してないから連絡つかないし」


「たしかにそうだったな。今交換するか?」


俺は安芸さんとRINEを交換する前は連絡先に母親しか入ってなかったし、それも何か大事な連絡がある時にしか使っていなかった。


なので結奈とは重要な話なんてしないわけだから、当然交換していなかったのだ。


だが最近になって安芸さんや梨花さんとRINEするようになって俺はその利便性に気づきつつあった。


やっと時代の流れに追いつけたとでも言うべきであろうか。 


「うん! 毎日送るね!」


「毎日って......同じ家にいるんだからそんなわざわざRINEで喋ることなんてないだろ」


結奈は嬉しそうに飛び跳ねながら、どこかで聞いたような台詞を発している。


家では世間話はしないというわけではないのだから、わざわざRINEを開いてまですることではないと思うのだがな。


俺たちは話に夢中になって気づいていなかったが、すっかり大群も駅に吸い込まれていて駅ビルに向かうのは俺ら2人だけになっていた。

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