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-第30話-仲良し

「あら、今日は早いのね」


「ああ、結奈に叩き起こされたもんでな」


俺は結奈に警告された通り二度寝しそうになったが、何とか睡魔を振り切り朝ごはんを食べにリビングへ降りてきていた。


ここ3年ほどずっとぎりぎりに起きて朝ごはんも半端に登校する生活を送っていたからか、いつもよりも30分ほど早い登場に母も驚いていた。


「それは災難だったわね......。それにしても一昨日のことと言い最近はびっくりすることが多いわ」


 

一昨日のことというのはおそらく俺が「知り合い」とでかけていたことだろう。


確かに俺は今まで人と関わってこなかったが、それを血涙を流すように喜んでいる母親を見ていると、なんだか自分は元から期待されていなかったような気がして悲しくなる。


「それで今日は結奈と学校に行くの?」


「うん! そうだよ」


「本当に結奈はお兄ちゃんのことが大好きね」


「ちょっとお母さん......」


お母さんは兄妹仲睦まじい姿を嬉しそうに見ていたのに対し、結奈はその言葉が恥ずかしかったのか顔を真っ赤にしていた。


実際この歳まで喧嘩も一切してこなかったわけだから、俺たち兄妹の仲はいいのだろう。


結奈が俺のことを大好きかは考えるまでもないことだが......。


「じゃ、じゃあお兄ちゃん! ほら食べ終わったでしょ、早く行こ」


結奈はお母さんから言われた言葉がまだ恥ずかしいのか、早くこの場から居なくなりたいように俺を急かしてきた。


俺はまだジャムを塗ったトーストが半分くらい残っていたが、結奈に呼ばれたため急いで口の中に突っ込んで「ごちそうさま」と食卓を後にした。


準備出来ている結奈をいつまでも待たせるのは悪いので、俺は急いで2階の自室から通学用の鞄を取って玄関へと急いで階段を降りた。


結奈は待ちくたびれたように「お兄ちゃん遅い」と文句を垂らしていたが、俺は何とか宥め2人揃ってドアを開け学校へ向かっていた。


「お兄ちゃんと一緒にこうやって並んで歩くなんて久しぶりだね」


「ああ、確かにな。ところでなんで今日は一緒に行こうなんて言い出したんだ?」


「だって今日そのお兄ちゃんの『知り合い』さんに会うんでしょ?色々聞いときたいなって」


結奈は俺の『知り合い』もとい安芸さんと会うのが楽しみなようで目を輝かせている。


まるで昨日の落ち込みっぷりが無かったかのようだ。


この変わり様を見ると安芸さんとの間になんかあったのかとさえ思ってしまう。


もしそうだったとしたら俺は今日の午後どうやって耐え凌げばいいのだろうか......。


「なるほどな。そういえばひとつ聞きたいことがあるんだけどいいか?」


「うん。なに?」


「今日集まる場所なんだが実は決まってないんだ。カフェにでも寄ろうって話なんだが、生憎2人ともそこら辺の知識に疎くてな」


「うーん。そうだなー......普通にチェーン店とかでいいんじゃない?ほら駅前にあるじゃん」


「確かにあそこなら雰囲気も落ち着いているしいいかもな。さすが我が妹だ」


「えへへ」


結奈は頭を擦りながら褒められて満更でもなさそうにしている。


結奈は友達ともよく出かけているからかペットショップの件と言い安芸さんと出かける時には重宝できる存在になりそうだ。


結奈が提示してきたチェーン店というのは世界中に展開されているコーヒーブランドのことだろう。


少し値段は高めだがその分量も多く種類も多いため若者に人気が高い。


高校生で行くのは少し早い気もするが、店内は安芸さんの落ち着いた雰囲気とはとても合致しているとも思える。


チェーン店というだけあって多少騒いでいいところも今日のセッティング場所としては好条件だろう。

次回結奈と安芸さんが対面します!

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