表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/98

-第26話-夕食

「ただいま」


俺はおそらく結奈も母親もいるであろう家の中に向かって呼びかけた。


結奈にペットショップ良かったよと早く感謝の言葉を述べたいと思っていたからか、いつもより少し大きい声を出した。


「あ、お兄ちゃんおかえり。いつも学校終わったらすぐ帰ってくるのに今日は遅いね」


「いや、まだ5時だぞ。部活やっている人たちよりも早いくらいだし」


「あのお兄ちゃんがこの時間ってことが問題なんだよ。しかもいつもなんかより楽しそうだし」


「そうか?いつも通りだと思うけど」


「さっきのただいまって声いつもより大きかったし、なにかいいことあったんでしょ?そうだ、いつもより遅れた分の2時間くらい友達と遊んでたとか」


「いや、俺に友達なんていないけどな。でも出かけては来たぞ」


「ええ?あのお兄ちゃんが?てっきり先生に呼び出しでも食らったんだと思ってたよ」

 

結奈はあからさまに驚いたように半歩下がった。


いくらなんでも友達のいない俺に冗談で友達と遊んでたと思ったと言うなんてひどい仕打ちすぎないか。


「それでな、結奈にお礼を言おうと思って」


「私に?なんで?」


「ほら、昨日ペットレンタルのお店のこと詳しく教えてもらっただろ。そこに今日行ったんだよ。そしたら喜んでもらえたみたいでさ」


「あ、お兄ちゃんも行ったんだ。でも誰と?別にお兄ちゃん動物好きじゃないでしょ」

 

結奈は自分が勧めた店に俺が行ったことを聞くと、嬉しそうにさっき下がった分の間合いを戻した。結奈も同じ学校だから安芸さんの存在は認知しているであろう。


もし仮に安芸さんと出かけたことを正直に告げてもこいつ友達出来なくてついに誇大妄想はじめたよと思われそうだから適当にごまかしておくのが得策だな。


「ま、まぁクラスの友達とちょっとな」


「ふーん。男の人でも犬とみんなで遊びに行ったりするんだね」


「そんなもんなんじゃないかな」

 

俺は知らないけど。


「あ、お兄ちゃん、もうご飯っぽいよ」

 廊下の奥のリビングルームのほうからご飯ができたことを知らせる母親の声が聞こえてきた。


今日はたくさん歩いたし早めに食べたかったから助かる。


俺と結奈は足並みそろえて母親のもとへ向かって行った。


「お母さん聞いてよ! お兄ちゃんがねクラスの友達とペットショップに会いに行ったんだって!」


「ええ?友達いたのね.......。お母さん小学校の時以来友達と遊んでたなんて聞かなかったからびっくりしちゃったわ」


「まぁたまにはそういうのもいいかなと思って。土曜日も出かけてきたし」


「そういえば帰りちょっと遅かったよね。どこ行ってたの?」

 

あ......これスイーツバイキングって答えるといよいよ男友達ってごまかしが効かなくなってしまう。


実際に男子グループで来ている人は一人もいなかったしな。


少し結奈たちに見栄を張ろうと思っただけだったが、どうやら俺は気づかないうちに墓穴を掘ってしまっていたらしい。


どう言い逃れしようかと考えているとお母さんが嬉しそうにまた話し始めた。


「そうなの!?しんちゃんにもようやく充実した生活が戻ってきたのね!」


「いや、まぁそんなわけじゃないけど......。」


俺はすかさず否定した。


俺は自分のためにやっているのではなく安芸さんのお願いを叶えるためだから、決して充実しているとは言い難い生活をしているからだ。


「そう言えばお兄ちゃんどの子借りたの?」


「ポテまるだが」


「ええ!?お兄ちゃんポテまる借りちゃったの?そっかーあの子の可愛さに気づいちゃったかー」


「いや、まあ消去法的にというか......」


「え?なんか言った?」


結奈の顔が明らかに険しくなった。


あ、これまずいやつだ。


まるで恋人を馬鹿にされたようなそんないかにも許せないと言った表情で見つめてくる。


「あら、ポテまるそんなに人気なのね。私も会ってみようかしら」


多分本人は気づいてないと思うが、お母さんの一言により結奈はポテまるが褒められて嬉しいのか表情が穏やかになった。


もし助け舟が出されずだがあのままだったらと考えると

恐ろしすぎる。


それにしてもお母さんまでポテまるの虜になってしまうのはまずい。


俺が可愛くないと思ったことがバレたらこの女子プラス1名にズタボロにされるのは明白だからだ。


「そうだお兄ちゃん。こんど私にもそのお友達に会わせてよ!お兄ちゃんがつるんでもいいかなと思える人なんてさぞ良い人なんだろうしね」


結奈は突然まるでいいアイディアが浮かんだかのように嬉々として俺に衝撃の言葉を放った。


ここまで結奈もお母さんもとても嬉しそうにしていて、ご飯がどんどん進んでいっている。


だからここで空気を悪くしたくは無いがやっぱりいくつか懸念点がある。


結奈に安芸さんと会わせれば俺の妄想疑惑は晴れるが、学校でもしかしたら噂が広まってしまうかもしれない。


結奈はそんなことしないと思うが、火のないところに煙は立たぬというからな。


「それはちょっと......」


「そんなにやましい人なの?それなら私がしっかり選定しないと!」


「そんなことは絶対にないけど......」


「ふーん、そこまで言い切れるんだ。じゃあアポ取れたらまた教えてね!」


結奈はごちそうさまとお箸を置き、言い逃げするように自分の部屋へと戻っていった。


残されたお母さんも私も気になるなとあからさまに安芸さんのことを気にしていた。


これは安芸さんにRINEで聞いてみないとな......。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ