-第25話-復活
「ただいま!!」
「ポテまるよく走るね」
安芸さんと姫芽さんが帰ってきた。出発してから15分ほど経っただろうか。
ポテまるは泥だらけになっており、姫芽さんはよほど走って疲れたのか肩で息をしている。
「あれ梨花調子戻ったの?」
「さっきまでめちゃくちゃ暗かったもんね」
「ええ、まぁ。何とか戻りました」
安芸さんらは俺の隣に座っていた梨花さんを一目見て変化に気が付いた。
やはり俺と話をする前の彼女は見るからに暗かったのだろう。
「あの、私も触っていいですか」
「もちろんだよ。私たちが独占しちゃってた分残り時間少ないけど、いっぱい愛でてていいよ」
「ありがとうございます。うわーかわいい」
彼女は名残惜しそうにみていたポテまるを許可が下りた瞬間撫でまわした。
本当は他の2人と同じようにこうしていたかったのだろう。
梨花さんはぐしゃぐしゃとなでたりくすぐったりしている。
どの姿はさっきまでのひどく沈んだものではなく、安芸さんや姫芽さんと変わらないような犬が愛でられて嬉しそうだった。
「あ、いけない。時間まずいよ!」
「梨花ももっと触りたそうだし、せっかくだから延長しちゃおっか」
姫芽さんが時計を見て慌てはためいていたが、安芸さんは余裕の表情でお金は出すと一言で解決された。
二人もなんで梨花さんが落ち込んでいたのかは知らないが、戻ってくれてうれしいのだろう。
俺たちはその後30分ほど公園に残った。
3人でポテまるを走らせたり他の犬とじゃれさせていた。
その間もっと触っていたかったのであろう安芸さんは不満そうだったが、ポテまるが楽しそうにしていたためか徐々に他の犬に会いに行かせていた。
公園内の広場を歩き回っているときもおもちゃを投げて遊んでいるときも、もちろん安芸さんら3人はポテまるをめぐって揉め続けていた。
しかしそれは幼い子がおもちゃを取り合うようなそんな仲の良さが伺えた。
俺は時々聞こえてくる梨花さんの「私も触りたいです」という声が聞こえるたびに嬉しくなった。
公園から出てペットショップに戻るとき安芸さんは満足したのか二人のうちどっちかが持っていいと言い出したが、話し合いの結果梨花さんと姫芽さんの二人で持つことになったっぽい。
肩を並べて二人でリードを支え同じペースで相反する髪を揺らしている二人からは、同じ安芸家の使用人としての絆、そして幼馴染として親友としての結びつきが感じられた。
公園への行きの時のように犬連れに絡まれることも、もう部活をしていない生徒は帰りきったのか生徒からの視線も感じることはなく戻ることができた。
「ポテまる......」
「また来ますからね......」
安芸さんが追加料金をなんの苦も言わずに払いきって戻ってくると、ペットショップでポテまるを見送る3人の姿はとても名残惜しそうだった。
これは結奈と同じリピート客になるな。
やっぱりポテまるの可愛さは俺にはわからないけれど、彼女たちを惹きつけるなにか不思議な魅力があるんだろう。女の子ってわからない生き物だな。
きっと今回も安芸さんは満足してくれただろう。
この調子でこれからも頑張っていきたい。
だが前回も今回も人の案で成功しているものだ。
今回切り札である梨花さんの連絡先を獲得できたから次回まではなんとかなりそうだが、それ以降は俺も考えなけらばならない。
やはり俺も梨花さんが頑張っているところを背中で見るだけではなく、一緒にクラスに馴染めるように努力したほうがいいのだろうか。
そうすれば現代の高校生の流行をいち早く知れるだろうし、安芸さんとの関係の上で得なのは明らかだ。
でも馴染むためには俺の嫌いな努力をし続けることが必要になるわけだし考えものである。
第一俺が突然輪の中に入りたいと言っても、今まで散々適当な行動をしてきた俺を入れてくれる心優しい人達がいるわけない。
安芸さんからのお願いを叶えるために俺もぼちぼち前進していかないといけないな。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
今話で公園編は終わりです
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