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-第19話-妹

何も変わらない光景を眺めているうちに家に着いてしまっていた。


結局公園の後はなにも起こらずじまいだ。


安芸さんからは一応いつでもいいと言われているから、出かける場所を探すのはまた明日頑張ろう。


そう思って俺は自分の家のドアを開けた。


「ただいま」


「あ、お兄ちゃん!おかえり」


俺の今にも消え失せそうな言葉に対し、元気ハツラツに出迎えてくれたのは妹の結奈。


俺の1つ下で同じ学校に通っている。俺とは違い可愛げもあり、元気もあり友達も多いとても魅力的な女の子だ。


ちなみに言っておくがちゃんと恋愛の対象外の実妹だ。


「お兄ちゃんなんか元気ないね」


「そうか?いつもこんなもんだよ」


「なんか考え事してるでしょ。難しそうな顔してる」


「まあ、そうとも言うかもな。大したことじゃないから気にしないでくれ」


「なんか困ったことがあったら私に言ってね」


「ああ、頼りにしてるぞ」


「えへへ、そうだお母さん!」


結奈は照れ笑いし、玄関から母親の元へ向かった。


結奈は本当に出来た妹だな。


見た目は何もいつもと変わらない俺を心配してくれた。


もしかしたらいつもお前は気分が落ち込んでいると暗に言われているだけかもしれないが。


「昨日のポテまる可愛かったなー!」


「あんたそれもう昨日から数えて5回目よ。そんなに昨日の犬が気に入ったの?」


「うん。舌をだしてはあはあ言いながら私近づいてくるの本当に可愛かったな」


どうやらポテまるというのは犬の名前のようだ。


前に犬を飼おうという話が出たのも結奈からだったから本当に好きなのだろう。


若干妹の思想が危ない気がするが、それは俺の頭の中がピンクだということにしておきたい。


結奈がそんな子だとは思いたくないからな。


それにしてもその昨日の犬とはなんだろう。


友達の犬とでも遊びに行ったのだろうか。


「いっそ自分で飼っちゃえばいいのに」


「それは絶対いや。めんどくさい」


「だからって毎回毎回借りてたら物凄い金額になるわよ」


「たまにだからいいの!それよりお母さんも一緒に愛でに行こうよ」


「私に集ろうとしないの。でもペットをレンタルするくらいなら1回くらいいいかも」


結奈はすごく楽しそうに昨日の出来事を語るが、自分で犬の面倒を見たらいいんじゃないかという母からの打診は一瞬で断っていた。


どうやら結奈は昨日ペットをレンタルしていたらしい。


最近は何でもデジタル化なり貸出だったりが流行っているので、それに乗ったお店なんだろう。


「その話詳しく聞かせて欲しい」


「ええ?お兄ちゃんまだいたんだ。それよりお兄ちゃんワンちゃん好きだったっけ?」


「いや、ちょっとな」


「怪しい、何かあるなー?まあいいや、うちの学校の駅前にこないだ出来たお店なんだけどね、ワンちゃんとか猫ちゃんを1、2時間単位で借りられるの。で、そこでポテまるに会ったってわけ」


結奈は一瞬驚いていたが快く答えてくれた。


なるほど。そんな駅前にスイーツバイキングの次にはお店が出来ていたのか。


1、2時間単位でレンタルできるなら手軽に借りられるしこれは行けるな。


「ありがとう結奈。んじゃあ」


「えへへ、ってお兄ちゃんワンちゃん好きじゃないのになんで借りるの?」


「まあ、知り合いがな。好きかもしれないから」


「もしかして......好きな......いや、そんなことないか」


結奈は褒められて嬉しそうにした後少し不安そうな表情を浮かべていたが、すぐに元に戻ってくれた。何か疑問が残ったのだろうが深く追求してこないあたりどうでもいいことなのだろう。


「とにかくありがとな」


「お兄ちゃん、遠くに行かないでよ」


俺はもう一度結奈にお礼を告げ、早く安芸さんにRINEをしようと階段を駆け上がった。


最後に結奈がなにか呟いていたがよく聞こえなかったことだけが少し心に残った。


『安芸さん行ってみたい場所が出来たんだけど、確認いいかな?』


俺は朝と同じように布団にくるまり、安芸さんにLINEを送った。


『私はどこでも大丈夫だよ!』


『一応ね。駅前にペットを借りられるお店が出来たらしいんだけど、どうかな?』


『い』


『もしかして嫌いだった?』


『全然、今のは気にしないで』


安芸さんのメッセージの送信が取り消された。


恐らく操作ミスかなんかだろう。


『私もワンちゃんとかめっちゃ好きだしぜひ行きたいな!』


いつものくまスタンプが喜びの舞をあげている。


『いつにする?』


『山口くんにおまかせするよ!』


『俺もいつでもいいんだけど.....』


『じゃあ明日の放課後ね!』


ええ?急すぎないか。


確かに俺も安芸さんもいつでも空いてるが、明日か。


まあ俺はどっちにしろ暇なわけだし大丈夫だな。


『わかった。また駅前で集合でいいか?』


『うん!前回と同じ場所でね!楽しみにしておくよ!』


集合場所も決まったところで俺は特にやることも無いが、スマートフォンを閉じた。


彼女に1回1回楽しんでもらえれば、きっと幸せになってくれるだろう。


そう淡い期待を抱いて明日に備えた。

たまたまオーバーラップ文庫の小説大賞が目に止まってタグ登録だけで応募できるみたいなので、記念にこの作品で出てみることにしました。応援お願いします!

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